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平成21年10月 第2377号(10月21日)

キャリア教育・職業教育のヒアリング

「職業実践的な教育に特化した枠組み」の必要性が曖昧
私立大学団体連合会が意見発表

 中央教育審議会のキャリア教育・職業教育特別部会(田村哲夫部会長)では、「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(審議経過報告)」に対する学校関係者等からヒアリングを行った。
 9月29日には、全国高等学校協会をはじめ日本私立小学校連合会(書面)、全日本中学校長会等の13団体から、また、10月19日には、(社)国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学団体連合会等の九団体から、さらに、28日には、産業界からもヒアリングを行うことになっている。
 19日のヒアリングでは日本私立大学団体連合会(白井克彦会長)から同連合会の高等教育改革委員会専門委員の佐藤東洋士桜美林大学理事長・学長と松本亮三東海大学付属図書館長・教授が意見発表した。その概要は次のとおり。
 全体について、「職業教育を主とする学校種それぞれの将来的な必要性や見通しが、具体的に論じ切れておらず、我が国の学校体系全体を視野に入れた再整理・再構築に議論が及んでいない。また、「新しい学校種」として考えられている「職業実践的な教育を行う特化した枠組みのイメージ」の必要性に疑問を感じる」などと述べた上で、個別条項では、「『改革の基本的方向性』について、キャリア教育に比べ、実践的職業教育推進に偏り過ぎている感を受ける。特に大学については、一部の学部を除いて、本来的な性格上、キャリア教育や汎用的な基礎的能力育成に注力すべきとの見解が多い。『後期中等教育におけるキャリア教育・職業教育の課題』について、「専門高校の五年制化」や「専門高校を基にした高等専門学校の設置の可能性」の議論では、既存の学校体系全体の再整理の検討が必要である。『高等教育における職業教育の課題』について、「職業実践的な教育に特化した枠組みのイメージ」の記述は、その必要性やイメージが曖昧である。特に高等専門学校など他の学校種との差異化が問題となろうし、実験・実習が増えれば実践的職業教育ができるとする判断も単純に肯うことができない」とした。
 意見の最後に、これらの取組みが実効を伴って遍く実施されるためには、政府の財政支援が図られる必要があると結んだ。

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