平成21年10月 第2375号(10月7日)
■私大協会
第598回理事会
22年度予算編成等への対応協議
中教審の審議動向と対応方策
日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る9月25日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において第598回理事会を開催し、政権交代に伴う今後の私学振興に向けた対応の在り方、中央教育審議会の審議動向、来たる10月23日開催の総会等について協議した。また、協議事項の後、私学共済事業の諸課題や協会各種事業など多岐にわたる報告が行われた。
開会に当たり大沼会長は「民主党の政権公約で、“大学の奨学金の大幅な拡充”や政策集での“教育への公財政支出の対GDP比を先進国平均以上にする”などの教育に関わる課題がうたわれているものの、今一つ判然としない。その上、平成22年度の予算概算要求を大幅に見直したり、制度化したばかりの教員免許更新制を“抜本的に見直”など不透明感を増している。予算等をめぐる今後の推移を注視し、対応の在り方を見定めていきたい。また、10月末には金沢市で全国総会を開催するが、現下の劇的な変化に対応した協会の新しい歩みへ向けての変換点としたい」と挨拶した。
協議に移り、はじめに、「今後の私学振興の在り方」について、小出秀文事務局長が提案説明した。
「例年であれば、予算・税制改正についての動きが見え始める時期であるが、政権交代を機に様相が一変している。22年度予算概算要求は文科省が10月半ばに再度財務省に提出することになった。税制改正についても、従前の政府税調と与党税調を一本化した新しい政府税調で検討することになり、未だに見えない」などと状況を述べた。
脱官僚主導の下で、大臣と副大臣・政務官による政務三役会議で予算の大枠を定めるとともに、政策会議なども新設して、具体的な予算案を作成していくことになるという。
小出局長は「教育現場の生の声を聞かずに、鳩山総理の言う『国民のための政治を作り出す』ことにはならないのではないか。その意味でも、今後は文科省はもとより、政務三役等にも理解を求めていくことも視野に、私学団体として対応していくことも考えたい」とつけ加えた。
次に、中央教育審議会の審議動向と大学改革問題等への対応についての協議では、@中教審大学分科会の第二次報告、A同分科会大学行財政部会、B同分科会大学規模・大学経営部会、C同「キャリア教育・職業教育特別部会」ヒアリング、D科学技術審議会「基本計画特別委員会」ヒアリング、E新型インフルエンザに対応した大学入試ワーキンググループの設置などについて、事務局から審議経過等が説明された。併せて、大学分科会委員を務める黒田壽二副会長(金沢工業大学学園長・総長)と同分科会大学行財政部会委員を務める小原芳明理事(玉川大学理事長・学長)から、「新政権では中教審の委員の見直し等も示唆しており、今後の審議の行方は不明である。おそらく、民主党の政権公約等との整合性がとれるかどうかにかかっているのではないか」などと補足説明を加えた。
ただし、C、Dについては、私学団体にヒアリングが求められており、その準備を進めている。
引き続き、同協会の第131回総会(秋季)の運営等についての議事を小出事務局長が説明した。
協議事項では、平成20年度の同協会収支決算の承認のほか、同22年度私立大学関係政府予算概算要求(10月中旬に文科省から財務省に再提出)並びに私学関係税制改正要望の経過と今後の対応、さらに、中教審等の審議動向、役員の補任、平成22年度の総会(春季・秋季)の開催日程など、また、報告事項では同21年度上半期事業報告や大学評価事業への対応等を報告することなどが協議のうえ承認された。
なお、総会開催に関連して、中部支部長の小出忠孝副会長(愛知学院大学学院長・学長)から「中部支部の当番で金沢での開催とした。政権交代もあり重要な総会となる」と述べ、多くの理事等の出席を促した。
報告事項に入り、まず、日本私立学校振興・共済事業団の加藤 豊理事から、特定健康診査・特定保健指導の現状と取組みや年金制度一元化問題に伴う私学共済事業の諸課題の説明があり、理解を求めた。そのほか、9月14日に行われた同協会の“地域共創”に関する研究協議会、(社)日本ウオーキング協会の「伊能(忠敬)図全国巡回フェア展」の協賛などが報告されて閉会となった。