平成21年9月 第2373号(9月9日)
■22年度概算要求
「国家戦略局」が予算編成の基本方針
民主党の政権公約など見据え立案!?
財源確保 21年度補正予算も厳しく見直し
民主党は、各省庁が8月末に財務省に提出した平成22年度の予算概算要求を大幅に見直し、改めて提出させる方針を明らかにした。新政権発足後の九月下旬にも予算の大枠を定める新たな基本方針を閣議決定する考えだ。各省庁は、その基本方針の下、民主党が政権公約で掲げた施策を中心に予算案を作成することになりそうだ。また、平成21年度の補正予算についても、46事業への約4.4兆円の「基金」等も原則凍結の方針を打ち出し、執行状況を精査した上で中止するなどして施策の財源にしたい考えだ。
政権主導目指す民主党
民主党は、8月末に各省庁が提出した予算概算要求は、「各歳出項目に一律に削減枠を設けるといった概算要求基準(シーリング)に基づいたものである」との考えから、予算全体にメリハリを持たせるため、これまでのシーリングを改め、政権主導による予算の重点配分をめざす。
具体的には、9月中旬の組閣後に各省庁への司令塔役ともなる首相直属の「国家戦略局」で予算編成の基本方針を取りまとめ、10月中旬あたりには、各省庁からの新たな概算要求案を提出させることになりそうだ。
ただし、財務省は、これまで8月末の概算要求提出後、約3ヶ月余りかけて査定作業を行っており、年内に予算編成を終了することは厳しいのではないかとの見方もある。
また、補正予算については、財務省に執行状況のヒアリングを行っているものの、約6割が「執行ずみ」と言われており、今後の各省庁の執行状況が精査されることが予想される。
補正予算について文部科学省では、7月末の時点で6割に当たる約7600億円について交付先の予算計画に組み込まれているとしている。
今後、平成22年度の新たな予算概算要求の作成に当って文科省は、教育分野についての民主党の具体的な政権公約のほか、「民主党政策集INDEX2009」に取りまとめられた次のような項目に軸足を置いた柱立てを中心に繰り直すことになる見通し。
e政権公約の五つの約束
Aムダづかいをなくす=国の総予算207兆円を全面組み替える。税金のムダづかいと天下りを根絶する、など。
B子育て・教育=中学卒業まで、一人当たり年31万2000円の「子ども手当」を支給する。公立高校は実質無償化し、大学は奨学金を大幅に拡充する。
C年金・医療=年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現する。医師数を1.5倍にする、など。
D地域主権
E雇用・経済=地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てる、など。
そのほか、▽教育への公財政支出(対GDP比3.4%〈注・最新のOECD調査によると3.3%〉)を先進諸国水準(5.0%)以上にする、▽教員免許制度を見直し、教員養成課程を六年制(修士)とする、▽漸進的に高等教育の無償化を進める、▽意欲ある社会人が学べる仕組みをつくる、▽給付型の奨学金を検討する、▽多様な教育機会を提供する私立学校の教育を充実するための私学助成を維持し、私立高校生の授業料を補助する、▽学校施設の耐震化を促進する、▽大学改革と国の支援(世界的にも低い高等教育予算の水準見直しが不可欠)、▽イノベーションを促す基礎研究成果の実用化環境の整備、などを掲げている。
いずれにしても、民主党は教育予算全体の増額を明言しており、教育関係者は大いに期待している。