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平成21年8月 第2370号(8月19日)

予算・税制改正要望など実現対策を協議
  私大協会 第597回理事会開催

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る7月24日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において第597回理事会を開催し、平成22年度私立大学関係政府予算要求並びに私学関係税制改善対策の推進方策、中央教育審議会の審議動向と今後の大学改革への対応等について協議した。また、同協会の第131回総会(秋季)の開催要項等を決めた。報告事項では、私学事業団の澤田 裕理事から、21年度補正予算で措置されることになった「授業料減免事業等を実施する私立大学等への無利子融資」について説明された。なお、理事会終了後には河村潤子私学部長のほか新任の幹部も出席して、懇親夕食会が催された。

 大沼会長の開会の挨拶に続いて協議に入り、予算要求及び税制改善対策の今後の推進方策について、小出秀文事務局長が提案説明した。
 大学関係の予算要望では、骨太方針2006以来続く対前年度予算比「▲1%」の撤廃、高等教育に対する公財政支出(0.5%)の国際水準(1.0%)への拡充、さらに、国立大学と私立大学に対する公財政支出の根本的な格差是正及び私立大学と国公立大学との連携・再編等の構築に向けた重点的支援などを中心に六項目の要望事項を説明。
 ▽私立大学経営の健全な発達のための支援、▽高等教育への修学機会均等の確保と学生の経済的負担軽減のための支援(授業料減免措置等の学校法人援助の拡充、給付型奨学金の創設、無利子による貸与奨学金制度の改善・充実など)、▽教育研究の質向上に向けた取組みに対する支援(耐震補強等への支援など含む)、▽地域の振興・活性化のための取組みに対する重点的支援、▽国家戦略への取組みに対する重点的支援、▽科学技術創造立国推進に向けた支援の拡充など。
 また、税制改正要望では、最重点要望として、▽教育費にかかる経済的負担軽減のための措置の創設(教育費〈学費〉の所得控除制度の創設、扶養控除の見直しによる家庭の教育費負担軽減など)、▽学校法人に対する寄附促進のための措置の拡大、▽消費税に対する優遇措置など。
 これらの要望内容は了承され、今後は各政党の高等教育に係わる政策方針にも十分に留意していくこととなった。
 次に、中教審等の審議動向と今後の大学改革への対応について―「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について審議経過報告(案)」への対応を含む―では、まず、大学分科会の「中長期的な大学教育の在り方について」の第一次報告以後の各部会、WG等の審議内容について黒田壽二副会長が説明した。
 同氏が部会長の「質保証システム部会」では、設置基準、設置認可審査の改善について優先的に審議していること、「学生支援WG」では、新たな大学の教育活動としての「職業教育(キャリアガイダンス)」の導入と学生の修学支援など、また、「大学グローバル化検討WG」では、国際的通用性の観点からの公的質保証システムの海外への発信と教育連携などの審議などを解説した。そのほか、「大学規模・大学経営部会」については、私学についてどれくらいの分野でどんな規模が必要なのか、今後検討に入ることなど。
 一方、「キャリア教育・職業教育特別部会」での審議では、職業実践的な教育に特化した枠組みのイメージを示した上で、高等学校卒業者を対象に大学・短期大学等と別の学校として検討を進めるのか、従来の大学制度の枠組みの中で検討するのか、いずれの場合にも多くの課題が残されており、具体的な制度設計と併せて今後更に総合的な検討が求められている。
 これらに対しては、パブコメ、ヒアリング等に適宜適切に対処していく方針を確認した。
 引き続き、同協会の第131回総会(秋季)の開催について、小出事務局長から協議事項等が提案され、了承された。また中部支部長の小出忠孝副会長が「いつも名古屋で開催していたが、この度は北陸の金沢市で来たる10月23日〜24日シに金沢駅前の「ホテル日航金沢」で実施します」と述べるとともに、開催地の金沢工業大学の黒田副会長から「多くの理事の参加を歓迎致します」と挨拶があった。
 報告事項では、九州産業大学からの同協会評議員登録変えに伴い、山下ェ彦前理事長から佐藤光昭新理事長に交替したことのほか、教育学術充実協議会及び学生生活指導主務者研修会、関東地区連絡協議会等の様子が報告された。
 また、日本私立学校振興・共済事業団の澤田理事と谷地明弘融資課長から、平成21年度補正予算において措置されることになった「授業料減免事業等を実施する私立大学等への無利子融資」について説明があった。
 最後に、恣本高等教育評価機構の佐藤登志郎理事長から、第一期の認証評価期間の最終の平成22年度には、92大学の評価申請が予定されていることから、評価員及び事務局出向職員の増員を講じることとなり、同協会の加盟大学に評価員の推薦、事務局出向職員の派遣等について依頼があった。
 理事会の終了後に開かれた懇親夕食会には、河村私学部長のほか、村田善則私学行政課長、小山竜司私学助成課長、戸松幹孝私学行政課私学共済室長、伊藤^n勲私学部参事官、馬場 剛私学部参事官付学校法人経営指導室長、村瀬剛太私学部参事官付視学官等の幹部が出席し、しばしの暑気払いとともに懇親を深めた。

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