平成21年7月 第2367号(7月15日)
■広がるeラーニング活用
私情協がIT活用方教法育発表会開く
私立大学情報教育協会(向殿政男会長)は、去る7月4日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、平成21年度全国大学IT活用教育方法研究発表会を開催した。全国から関係者が集まり、医療・社会科学系、芸術・情報専門、工学・生活家政・語学系等にわかれ、研究成果を報告しあった。
同発表会は、国公私立大学・短期大学教職員を対象に、教育改善のためのIT活用によるFD活動の振興普及を促進・奨励し、その成果の公表を通じて大学教育の質的向上を図ることを目的として、平成五年より実施されている。
このたびは、IT活用教育事例について、「初年次・初等中等・理学系教育」、「医療・社会科学系教育」、「芸術・情報基礎系教育」、「工学・生活家政・語学系教育」にわかれ、それぞれ一〇事例以上、計五三事例の研究成果が報告された。
発表題目を見ると、eラーニング活用、あるいはeラーニングと講義を交ぜた「ブレンド型学習」の教育事例が多い。一方、携帯電話やレゴロボットなどを利用した事例から、3DCGのバーチャル世界である「セカンドライフ」、メロディと歌詞を入力することで作詞・作曲が行なえる音声合成技術によるソフトウェア「初音ミク」、また、グーグルの様々な便利なサービスを「クラウドコンピューティングサービス」と称して活用する事例まで、IT技術の広がりに伴い、IT活用教育の領域もまた広がっていると言える。
また、特別セミナー「教育効果を高めるための授業方法」として、佐々木利廣京都産業大学経営学部教授が「経営学教育におけるシナリオ設計を重視した授業」を講演。NHKで放映された「プロジェクトX」を題材とした、IT活用の双方向授業を実現して、チャレンジ精神や複眼的視点を身につけさせる科目の実践事例について解説した。学生からの評判も高く、学内外の協力による授業シナリオ設計と運用を実現した好例だが、「他授業での利用や学外発信の難しさがある」等の課題も述べた。