平成21年7月 第2366号(7月8日)
■私大協会
関東地区連絡協議会開く
文科省私学部豊岡参事官D監査機能Eなど講演
日本私立大学協会は、去る6月30日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、関東地区連絡協議会(会長=大沼 淳同協会会長、平成21年度議長=塚本桓世東京理科大学理事長)の第48回総会を102大学156名が出席して開催した。
開会に当たり大沼会長は「この関東地区連絡協議会は、私大協会の約3分の1の加盟校を擁している。これから来年度予算の概算要求段階に入り、大変重要な時期になる。併せて、政局も不透明な中、期に臨んで皆さん方の力強いご協力をお願いすることも多々あると思う。また、来年の秋の全国総会の開催は、この関東地区連絡協議会の当番に当たることから、その準備方などのご協力もお願いすることになる」と協会活動への一致協力を要請した。
また、21年度の塚本議長も「今日は重要な案件もあり、皆さんのご協力をお願いしたい」と挨拶。
議事に先立って、昨年秋の総会以後に同協議会に加入した新潟薬科大学が紹介され、当日出席の吉川惠次理事長と鈴木正利事務部長代理が紹介され、暖かい拍手で迎えられた。
総会の議事に入り、はじめに、平成20年度関東地区連絡協議会事業報告並びに収支決算の承認について小出秀文事務局長から説明され、柴 忠義監査役(北里大学理事長・学長)の監査報告の後、承認された。
次に、平成21年度の事業計画(案)及び予算(案)については、塚本議長の下で協議され、来たる11月17日の第四九回連絡協議会の開催、平成22年1月14日の新年賀詞交歓会の開催等について小出事務局長から提案され、承認された。
併せて、同連絡協議会の担当の下で開催する平成22年度日本私立大学協会の秋季総会の開催について、平成22年10月22日〜23日、千葉県のホテルニューオータニ幕張での開催が提案され、了承された。なお、具体的な内容等については役員会等で協議していくことになった。
連絡協議に入り、小出事務局長が提案説明した。
はじめに、同協会の21年度の事業計画の概要を説明する中で、各専門委での政策提言の検討、他団体・機関との連携等による要請活動等を通しての私学振興の枠組を的確におさえた体制・活動で臨むこと、さらに、21年度の政府予算や補正予算に関連しての学生支援や国際化等の動向等を踏まえた上で、22年度の私立大学関係政府予算概算要求の重点事項について、いくつかのポイントを述べた。
▽学生の教育費負担軽減(授業料減免学校法人援助など)、▽中小規模地方大学支援、▽質的充実、▽国際化対応、▽第三者評価制度改善などを挙げ、今後、概算要求に向けた具体的な要望づくりに歩を進めたいとの考えを示した。
次に、中央教育審議会等に係わる動向と大学改革問題等への対応では、「中長期的な大学教育の在り方について」の第一次報告(大学教育の構造転換に向けて)での審議経過の取りまとめに触れ、特に「人口減少期における我が国の大学の全体像」における量的規模と経営に関する論点での「一八歳人口だけでなく、我が国の人口全体が減少期を迎えた中で、社会人、高齢者、留学生等の大学就学の充実やグローバル化を踏まえた量的規模」の検討課題、さらに、「収容定員の取扱いの適正化に係わる学部等設置認可の厳格化、定員超過の取扱い」等の検討課題など、国際的な観点も視座に適宜適切な対応もしていきたいと述べ、了承された。
休憩をはさみ、文部科学省高等教育局私学部の豊岡宏規参事官が登壇し、「経営体制の強化と監査機能の充実について」と題して講演した。
同氏は、始めに学校法人制度の仕組みを振り返り、理事会、監事、評議員会のそれぞれの役割を確認した。
特に、平成17年4月施行の、学校法人が近年の急激な社会状況の変化に適切に対応し、様々な課題に主体的、機動的に対応する体制強化のための私立学校法の改正における学校法人の管理運営機能の強化について説明した。
監事制度の改善では、@監事の職務に監査報告書の作成並びに理事会及び評議員会への提出を加える、A監事のうち少なくとも一名は、選任の際現に当該学校法人の役員又は職員でない者を選任する(再任の際には外部監事とみなす)、B監事は評議員会の同意を得て理事長が選任するとともに、解任手続、任期については各学校法人の寄附行為により定める、C監事は、評議員と兼職してはならないことなどを中心に解説した。
そのほか、財務情報の公開についても、公共性を有する法人として説明責任を果たす観点からの、財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書及び監査報告書を関係者の閲覧に供することを義務づけていることを解説。
これらの説明の後、私学を取りまく経営上の諸問題として、入学定員充足率、資産運用の状況などにも言及した。その上で、今後、私学部でも検討を行い、必要な施策等について概算要求も視野に考慮していきたいなどと結んだ。
なお、議事の終了後には会場を移しての情報交換会が行われた。