平成21年7月 第2366号(7月8日)
■学校段階別の施策例など提言
教育安心社会の実現に関する懇談会報告
去る7月3日、文部科学省の「教育安心社会の実現に関する懇談会」の第4回会合が、東京・霞が関の霞山会館で開かれ、同懇談会報告(副題「教育費の在り方を考える」)を取りまとめ公表した。
同報告は、はじめに懇談会からのメッセージとして▽子どもは「社会の宝」、未来を担う子どもの教育は社会全体で支える、▽公教育の負担に対する安心・質の安心の保障が必要と訴えた。
次に、家計負担と関連施策の現状を述べた上で、各学校段階で求められる施策の方向性をまとめた。
幼児教育段階では、希望する全ての3〜5歳児教育の無償化。義務教育段階では、低所得者層の家庭の児童生徒は、各市町村の財政力に左右されずに就学援助を支給できるようにする。高等学校段階では、進学率98%の国民的な教育機関となっていることを踏まえ、授業料等の負担軽減策を図る。大学・大学院段階では、授業料や入学金の負担軽減を図るとともに、低所得者層の家庭の学生には手厚い負担軽減策を図る。また、大学院段階においては、TA・RA等を通じた実質的給与型の経済的支援の拡充を図る。併せて、進学に係る「ファイナンシャルプラン」を計画できるような環境整備を行う。さらに、地方大学の運営支援を通じ、地方の学生が進学機会を確保できるようにする。
最後に、「今回の提言の具現化に際しては、授業料の軽減や奨学金の充実といった家計に対する直接的な補助だけでなく、国立大学法人運営費交付金や私立大学・高等学校等への経常費補助等といった学校に対する基盤的経費の充実を通じて、学校経営の安定化、及びその結果としての授業料の抑制といった施策もあわせて着実に進める必要がある。教育安心社会の実現に向けては、今後、教育の質の向上に関する諸施策も早急に検討する必要がある。
さらに、これらを支える公財政支出全体の抜本的充実についても、OECD諸国平均の公財政教育支出の対GDP比5%の水準を踏まえ、検討する必要がある」と指摘している。
なお、同報告には、参考資料としての各種統計資料(グラフ・表など)を付けるとともに、具体的に例示した施策についての試算例も示した。