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平成21年7月 第2365号(7月1日)

私大協会
  第596回理事会
  概算要求基準(シーリング)へ向け予算要望等協議
  平成20年度同協会収支決算を承認

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る6月26日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において第596回理事会を開催し、平成20年度の同協会収支決算を承認するとともに、平成22年度私立大学関係政府予算要求などの推進方策について協議した。なお、文部科学省私学部の村田善則私学行政課長と小山竜司私学助成課長が招かれ、予算要望等に関わる諸情勢を説明した。

 開会に当たり大沼会長は「骨太方針2009が決まったが、社会保障費2200億円の削減が抑制されるなど2011年までの財政改革が崩れている。しかしながら、教育費関係については、“▲1%”がどうなるのかなど、未だに不透明である。今回、地方と主要都市にある大学の較差や大学の規模による較差などが顕在化しており、中教審等の審議動向等も見極めつつ対応していきたい。その意味で、今日は文科省の担当課長にご出席いただき説明を聞き、今後の予算要望の在り方を模索していきたい」などと述べた。
 協議に先立って、平成20年度同協会収支決算についての概要が企画財務委員会の廣川利男委員長(東京電機大学学事顧問)から説明され、引き続いて小出秀文事務局長から経常会計、特別会計について詳細な解説が行われ、椙山正弘監事(桜美林大学理事長・学長)の監査報告の後、全会一致で承認された。同収支決算は今秋の全国総会に諮ることになる。
 協議事項に入り、文科省の村田課長と小山課長の二人から、予算・税制改善対策等に関連して、「経済財政改革の基本方針2009」をはじめ、諸会議等の動向、中教審の「中長期的な大学教育の在り方に関する第一次報告」などが解説された。
 骨太方針では、経済の活性化に向けた取組み、安心社会実現へ向けた重点的な取組み等をめざすとし、それに伴って概算要求基準(シーリング)が例年より早く、7月初旬にも閣議了解される流れとなっていることから、今後、私学関係の要望をどう訴えていくのかが焦点となっている。
 村田課長は、今年も“▲1%”が出てくるかもしれないが、骨太方針の副題として「安心・活力・責任」の文言が入り、安心して教育が受けられるような意味での要望を強く打ち出せるのではないか。このことは他の「安心社会実現会議」の報告や「教育安心社会の実現に関する懇談会」の議論の整理等が反映されているものとの感想を述べた。
 したがって、現下の厳しい経済状況の中での教育費負担(奨学金、授業料減免など)に関わる私学要望を推進していきたいと語った。また、中教審大学分科会の大学教育に関する第一次報告に係る質向上のための財政支援等にも触れた。
 小山課長は、教育費負担とともに、私大と国公立大との較差にも目を向けなければならない。また、地方私大の経営基盤の強化等も欠かせない、などと述べた。
 これを受けて小出事務局長は、これまで日本私立大学団体連合会として、高等教育への財政支出の対GDP比0.5%を、先進諸国並の1.0%に拡大することと、私学助成の対前年度予算比“▲1%”を撤回すること、の2点を国会議員等に強く要請してきた。今後の具体的な要望に当っては、全私立大学の総意で社会にも理解されるような、また、エビデンス等を工夫して文科省とも連携を図りながら財政当局に理解を求めていきたいとの意向を示した。
 理事からは「“▲1%”はともかく、更に深掘りの“▲1%”などは言語道断だ」「社会保障費が骨太から除外されたが、今後、公共事業や防衛費等の動向にも注視し、よもや教育費のみ取り残されることがないように」「安心社会の実現のため、学生の就職支援にも意を用いてほしい」といった意見が出され、対応策の提案は承認された。
 次に、中教審の審議動向として、大学分科会の「中長期的な大学教育の在り方に関する第一次報告」の概要が村田課長から説明され、今後も適宜適切に意見反映していくこととした。
 引き続いて、同協会への福島学院大学と八戸大学の2校の新加入の協議が行われ、満場一致で承認した。
 報告事項では、同協会の評議員登録変えに伴う理事の欠員について、大阪音楽大学の前理事長・西岡信雄氏から新理事長・中村孝義氏に交代すること等が報告されて理事会は終了した。

私大協会校に

 第596回理事会で加入が承認された大学は次のとおり。
 ▽(学)福島学院が設置する福島学院大学(平成15年4月1日開設)、理事長=菅野英孝氏、学長・評議員=阿部 正氏。福祉学部福祉心理学科=定員100名。
 ▽(学)光星学院が設置する八戸大学(昭和56年4月1日開設)、理事長・評議員=中村 覺氏、学長=鈴木宏一氏。ビジネス学部ビジネス学科=定員80名、人間健康学部人間健康学科=定員80名。

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