Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成21年6月 第2364号(6月24日)

新刊紹介
  男女共同参画の影響?
  「変ってしまった女」と「変わりたくない男」
  三浦 清一郎 著

 これほど女性の気持ちを尊重する男性がいるのか。こう考えること自体が「変わりたくない男」の典型となる。タイトルの「変わりたくない男」とは、〈男の支配体制が続き、居心地の良い地位から変わりたくない、と考える男〉。
 「変わってしまった女」は、〈男女共同参画に目覚めた女性〉で、この両者が、譲らぬまま、ともに生きようとすると〈対立は日常化し、問題は噴出し、利害の衝突は激化する〉とまえがきからドラマチック。
 タイトルがそうであるように、言葉の使い方、造語が巧みだ。〈何万年も生産と戦争を男の筋肉に頼ってきた。男の支配体制は必然であった〉と、この支配体制を「筋肉文化」と名付けたあたりは秀逸。
 〈男女共同参画の意識と行動は、文明の進化による機械化と自動化の結果、筋肉差が極小になったことから始まった〉とする。〈農山漁村文化は筋肉文化の凝縮である〉、〈あらゆる性別役割分業は筋肉文化が創り出した〉などとすべてを筋肉文化に押し付ける主張には少々、閉口する。
 週刊新潮(09/6/25)のコラムで、作家の渡辺淳一は「男と女、どっちが強いか」のタイトルで〈体力では男が強いが、長生きする力(寿命)では女が長い。長い人生からみれば女のほうがはるかに強い〉と書いていた。この寿命の視点からの男女共同参画論を聞きたいもの。
 著者は、日米の大学で生涯学習システムと社会教育を教えてきた。自治体や学校などで講演や研修会を行うかたわら、生涯学習通信(月刊)を発行。地道な仕事に尽力する姿勢に敬意を表したい。

 「変わってしまった女」と「変わりたくない男」
 三浦清一郎著
 学文社
 рO3−3715−1501
 定価1600円+税

Page Top