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平成21年5月 第2360号(5月27日)

新刊紹介
  グローカリゼーション
  神田外語大学国際社会研究所編

 「グローカリゼーション」とは、こういう状態をいう。こういう内容の本である。
 〈グローバリゼーション(globalization)は、世界各地にローカリゼーション(localization)という波を呼び起こした。
 二つの波が、ある場合には反発し合い、ある場合には融和・共存しつつ、同時並行的に起きている状態をグローカリゼーション(glocalization)とよぶ〉
 神田外語大の教授ら22人が〈今、世界で何が起きているのか、いったい何が問題で、どのように理解すればよいのか〉を複眼的・多角的視点から書く。
 収められた論文は、どれも国際社会の現在を鋭く突いている。永井 浩の「戦争とメディア・リテラシー」は、「戦争が起きると最初に犠牲になるのは、真実である」という米国の上院議員の発言を核に「対テロ戦争」報道を撃つ。
 興梠一郎の「現代中国を読む」は、〈真の友好とは、相手を「ありのまま」理解することから始まる〉、〈相手の「表も裏も知りつくす」ことは、長期的な関係を築く上でも重要〉とわかりやすく核心に迫る。
 永井や興梠だけでなく、残り20人の著者の論文の行間からは、ジャーナリズムの匂いが立ち上がっている。同大が創設した大学出版局による第一号の本。国際問題に関心のある人には必見だ。
 ところでいま、「論座」、「諸君」、「現代」といった月間総合誌が相次いで休刊。ジャーナリズムの危機が叫ばれている。
 こうした月刊誌と肌合いは異なるが、ジャーナリズムの目線で書いているのは共通する。願わくは、この視座を失わず、第2弾、第3弾の同様な本を出して、休刊する総合誌を補ってほしい。


 「グローカリゼーション国際社会の新潮流」
 神田外語大学国際社会研究所編
 神田外語大学出版局
 043-273-1481
 定価2200円+税


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