平成21年5月 第2359号(5月20日)
■中教審 質保証・学位プログラム等の審議深める
大学分科会等の審議動向
後期中等教育でのキャリア教育職業教育の在り方審議
中央教育審議会の大学分科会は、昨年9月の「中長期的な大学教育の在り方について」の諮問を受けて、新たな部会や作業部会の下に多様なワーキンググループを設けるなどして、急ピッチの審議を重ねている。また、昨年12月の「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方」の諮問を受け、キャリア教育・職業教育特別部会では初等中等教育・高等教育の各教育段階での議論を重ねている。
▽質保証システム部会
質保証システム部会(黒田壽二部会長)は、4月28日、文科省内会議室で第2回会合を開き、大学における質保証システムの在り方について審議した。委員から多様な意見が出され、産業界関係委員からの「学生の質(品質)管理のPDCAサイクルがきちんと機能していることが大事」といった意見のある一方で、機能別分化を背景に考えた場合の画一的基準に対する意見や私立大学等のミッションを踏まえての、多様性を考慮した設置基準等の在り方を求める意見も多く出された。
▽学位プログラム検討WG
大学教育の検討に関する作業部会の学位プログラム検討ワーキンググループ(主査=舘 昭桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科教授・研究科長、以下WG)は4月27日、文科省内の会議室で第2回会合を開き、学位プログラムを中心とした大学制度について、(財)未来工学研究所からの「大学の質保証及び学位プログラムの在り方に関する調査研究」(委託事業)の経過報告、また、舘主査からの「諸外国における大学内部の質保証システム」などの報告が行われた。これらの報告では、各国の高等教育制度とともに、質保証の基準等のシステムや大学の設置、認可、学位名称と水準、さらに、各大学の取組み等について発表があった。併せて、英国・豪州・EUにおける学士力、修士力、博士力等の学位レベル別能力の比較表も示された。
▽大学分科会
大学分科会(安西祐一郎分科会長)は、5月13日、文科省内講堂において、中長期的な大学教育の在り方についての各部会等のこれまでの審議状況として、@大学分科会の審議(作業部会のWG、機能別分化の検討(各国の取組事例))、A質保証システム(設置基準、設置認可審査、認証評価などの関係、学生支援、各国の質保証システム)、B人口減少期における大学の量的規模及び大学経営(教育・学生支援分野の共同利用、収容定員取扱いの適正化、情報公開)、C大学院教育、D学位プログラムを中心とする大学教育と大学制度の再構成などの現状や意見の論点が提示され、さらに取りまとめへ向けての意見が出された。
▽大学院部会
大学院部会(有信睦弘部会長)は、5月18日、金融庁の特別会議室において、第44回会合を開き、産業界等から大学院教育に期待することについて、野村證券(株)、キヤノン(株)、秋田県教育委員会等からヒアリングを行った。委員からは、日本の大学院においては、研究室ごとの個別の教育となる傾向があり、企業が求めるような能力を養う教育インフラが整っていない等の多くの意見があった。
▽キャリア教育・職業教育特別部会
キャリア教育・職業教育特別部会(田村哲夫部会長)は、5月12日、文科省内講堂で第7回会合を開いた。大学教育と職業に関する内容の在り方では、「もっと職業に密接な内容を」といった意見と「大学では、方法論や問題解決といった学問教育を通じた、より普遍的な能力を習得すべき」との意見が出されるなど、多様な意見が相次いだ。