平成21年4月 第2356号(4月15日)
■レファレンス資料室
インフォ・プロとは
米専門図書館協代表が講演
米国大使館レファレンス資料室は専門図書館協議会と共催で、4月13日、東京アメリカンセンター・ホールにおいて、第四回シンポジウム「デジタル時代のインフォ・プロ:課題と展望」を開催した。
インターネットの普及や情報技術の進展により、情報が遍在する社会だからこそ、組織にとって本当に価値のある情報を見つけ出し利用できるプロフェショナルが必要となる。これを「インフォ・プロ(Information Professional)」と呼び、図書館司書に今後求められる姿であるとも言われる。このたびは、米国専門図書館協会のジャニス・ラチャンス代表を講師に迎え、求められる資質、抱える課題と展望について講演があった。
ラチャンス代表は、様々なデータを用いながら情報化社会におけるインフォ・プロの必要性を示唆するとともに、同協会がまとめたインフォ・プロに求められる能力と資質を紹介した。まず、職業的能力として、@情報部門のマネジメント、A情報資源のマネジメント、B情報サービスのマネジメント、C情報ツールと技術の応用を挙げた。
また、人的資質として、チャレンジ意欲や信頼関係の構築、創造性などを挙げた。
ラチャンス代表は何度となくインフォ・プロの存在価値を内外にPRすることの重要性を訴えた。その時に重要なのは成果の数値化で、組織のコスト削減に具体的に寄与していること、また、「ユーザーに必要とされるのを待っているのではなく、自ら会議等に参加したりユーザーに話しかけ組織ニーズを知り、積極的に内部の情報を得ることが大事だ。逆に、そうした動きの中でインフォ・プロの仕事もユーザーに伝わる」との考えを示した。
また、「ユーザーは情報によるダイナミックな組織変化や情報の利用法等を求めている。コツコツと収集しているだけでは駄目だ」などと述べ、ユーザーのニーズに対するインフォ・プロの認識のズレに警鐘を鳴らした。
講演後には質疑応答があり、終了となった。欧米では、ライブラリアンからインフォ・プロへの流れが起こりつつあり、日本でもその影響がみられ始めている。