Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成21年4月 第2356号(4月15日)

到達目標の設定など
  最終取りまとめに向け

 中央教育審議会大学分科会の法科大学院特別委員会(田中成明座長)は、4月10日、文科省内会議室で第29回会合を開催し、法科大学院教育の質の向上のための改善方策の最終取りまとめに向け、「中間取りまとめ」以降の議論を踏まえた3項目の案を議論した。
 一、修了者の質の保証について(案)
 @共通的な到達目標の設定と評価方法=科目は、法律基本科目及び法律事務基礎科目とし、創造的・批判的思考能力、事例分析能力及び論理的表現力など幅広い内容の質・能力を掲げる。また、厳格な成績評価による単位認定等を実施。
 A教育内容の充実と厳格な成績評価・修了認定=法学未修者一年次の基礎的な学習を確保するため、履修登録単位数の上限を36単位から42単位に認める必要がある。法学既修者も修了要件の93単位を超える部分で法律基本科目の授業を量的・質的に充実させる。認証評価機関の評価では、単位数や教育方法に従って、評価基準等の適用の在り方の検討を要する。
 B司法試験との関係=3回の司法試験の結果、修了者のうち試験に合格し、法曹として活躍できる者の割合がかなり低い状況が継続的な法科大学院については、入学定員の調整を含めた適切な入学者選考等を早急に講じる必要がある。
 二、教育体制の充実について(案)
 @質の高い専任教員の確保=平成25年まで認められている学部等との教員数のダブルカウントの暫定措置を延長しない。
 A定員の見直しと教育課程の共同実施・統合等=質の高い教員確保・入学者確保が困難、修了者(例えば過半数)が司法試験に合格していない状況が継続などの場合、平成二十二年度入学定員の見直しが望まれる。また、他の法科大学院との統合等も積極的に検討の必要がある。
 三、質を重視した評価システムの構築(案)
 @教育水準と教員の質に重点を置いた認証評価=適性試験の統一的最低基準の運用状況、共通的な到達目標の達成状況、厳格な成績評価・修了認定の状況、教員の業績・能力などの観点を重点的に行う必要がある。「不適格」の認定については、社会(入学希望者等)に混乱を与えないような運用を図るよう、基準・方法について見直しを図る必要がある。また、三つの認証評価機関の調整を図り、主体的に協議機関を設置することが望まれる。
 A積極的な情報公開の促進=入学者選抜、教育内容、司法試験、教員、修了者の進路等の情報を一層、積極的に提供していく必要がある。
 これら一〜三の案について、様々な意見が出され、4月中の最終報告案の骨子として取りまとめることとなり、パブコメによる意見募集が行われた。

Page Top