Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成21年4月 第2355号(4月8日)

新刊紹介
  「就活のバカヤロー」
  石渡嶺司、大沢仁著
  就活の内幕、赤裸々に

 出版界は新書ブーム。読みやすい、価格も手ごろというのが人気らしい。この「人騒がせ」なタイトルの本も売れ行きは好調だ。
 就職活動、いわゆる就活について〈就活の裏側を赤裸々に描き、そのうえで、ある意味青臭く、これからの就活のあるべき姿を提案している〉と書く。
 五章からなり、就活に関わる▽学生▽大学▽企業そして、▽インターンシップ▽就職情報会社に対して、著者は、それぞれ怒りをぶつけている。
 〈慶応の学生は就活の前に「無意識下の就活」をしている〉〈企業説明会に親が出席〉〈就活を川上から川下まで牛耳り、マッチポンプの就職情報会社〉といった僕ら“大学周辺居住者”が知らない話も多い。
 この種の本は、二つターゲットがあると思う。一つは、誰に売るか、もうひとつは誰を撃つか。前者では学生、大学、企業をねらっているようだが、照準がバラけていないか。
 後者で肝要なのは、いまの就活状況に陥いらせた原因は何か、いや誰かにあるか、だ。冒頭、就職協定の問題に触れていた。が、就活も、これに関わる学生、大学、企業の姿勢を〈気持ち悪い〉と表現して、「就活のバカヤロー」で終っている。
 約束した「提案」については、〈あえて提示しない。「やっぱりおかしい」と問題提起する必要があるということだ〉ではイタすぎる。
 著者のいう"就活の闇"は、バカヤローで片付けられる話ではない。怒りはわかったが、精神論でなく就職協定の問題を深めるなど具体的な解決策に踏み込んで欲しかった。

 「就活のバカヤロー 企業・大学・学生が演じる茶番劇」
 石渡嶺司・大沢仁著
 光文社新書
 TEL:03-5395-8289
 定価820円+税

Page Top