平成21年4月 第2355号(4月8日)
■多人数教育の設計法を学ぶ
日本教育工学会がFDワークショップ
日本教育工学会(赤堀侃司会長)は、去る3月29日、東京・広尾の聖心女子大学において、大学教員のためのFD研修会「多人数教育の授業設計と管理―多人数で学ぶ力を回復する」を開催、全国から50名の関係者が集った。
講演会・分科会形式のFD研修が多い中で、このたびは学習者の視点を重視したワークショップ形式で開催。講師は元佛教大学教授の西之園晴夫学習開発研究所理事長、同研究所の望月紫帆氏、聖心女子大学の永野和男教授や滋賀大学の宮田 仁教授ら。学生100人以上の多人数教育を効果的に行う「協調自律学習」の手法を紹介した。
参加者が5人程のチームに分かれ、名前を覚えて緊張を解くゲームや携帯電話を使用してのコメントシステムを体験。グループワークを行なう準備を整えた。
次に、このたびの中核となる「MACETOモデル」について解説があった。人は「行動」と「その行動の意味」が構造化されると、他人から指示されなくても様々なことに没頭する。この構造化の枠組みの一つがMACETOモデルである。M(意味)、A(活動)、C(内容)、E(環境)、T(道具)、O(成果)の頭文字を取ったもので、テーマに基づいてそれぞれの項目を記述していく。このたびは、学習者の視点でこのモデルの有用性を確認するため、「自分にとって時間を気にせず没頭していたこと」をテーマに、参加者はそれぞれ自分の経験を記述した。そののち、チームで共有し理解を掘り下げた。
最後に、各チームから一人を選び、実際の授業を事例としてMACETOモデルに沿って設計し、チームで略案を構想した。各チームがディスカッションを正しく深められるかは、ワークショップの進行役であるファシリテーターの力量によるが、事前に周到な準備と説明がなされていたため、各チームとも時間を忘れて熱心なディスカッションが行なわれた。その後、各チーム毎にパワーポイントを用いて成果を発表し合った。
同学会では、今後もワークショップ等を開き、一人ひとりが学習目標にあわせた課題提出ののち、修了証を発行する。