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平成21年4月 第2355号(4月8日)

若手・女性の研究環境は改善
  科技製作研 研究者等の科学技術意識調査まとめる

 科学技術政策研究所は、このたび、日本の研究者・有識者等に科学技術の状況を尋ねる意識調査(第3回)を実施した。この2年間で、若手や女性研究者が活躍する環境など、科学技術システムの一部で状況が改善しつつあるが、まだ問題があるとされた項目が過半であるという調査結果が得られた。

 調査は平成20年7月から10月にかけて実施。2006年から毎年一回、同一のアンケート調査を同一集団に5年間継続実施するもので、今回は第3回目となる。
 主な結果は次の通り。
 (研究資金や研究施設・設備の状況)
 科学技術政府予算は不充分との認識が増加。多くの分野で「基盤的経費」を必要とする意見が増加した。
 大学の研究施設・研究設備の整備状況が不充分で、老朽化対策、耐震補強、設備更新、運用・保守・メンテナンス、図書館の維持に課題との意見が示された。
 (人材の状況)
 若手や女性研究者などが活躍する環境整備が進みつつあるが、望ましい能力を持つ人材が博士課程後期を目指していない。また、多くがキャリアパスへの不安や新医師臨床研修制度に注目した意見を述べている。
 重点推進分野で、基礎研究人材が不足。この二年間で、ナノテク・材料、ものづくり技術、フロンティアでは基礎研究人材、ライフサイエンス、環境では、応用研究および実用化の人材の不足感が増した。
 海外留学する日本人学生や若手研究者数は不充分。要因として、帰国後の就職先が見つからない事や研究留学後のポジションの保証がないことが挙げられた。
 一方、外国人研究者を受け入れるための体制整備は進みつつあるが、継続的な就業先の確保、生活の立ち上げに対する支援などは不充分である。
 (研究開発環境の状況)
 大学で基礎研究を行うための研究資金・研究スペースは共に不充分。研究支援者については、著しく不充分との評価である。科学研究費補助金は、一貫して使いやすさの評価が上昇。年度間繰越が可能になったことが理由に挙げられた。
 (戦略重点科学技術)
 環境やナノテク・材料分野の戦略重点科学技術において、研究の活発度や水準が2006年度調査から着実に上昇している。大部分の戦略重点科学技術の実現に必要な取り組みとして、「人材育成と確保」が1位に挙げられた。

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