平成21年3月 第2351号(3月4日)
■"団塊の世代"の授業力を伝授 十文字学園女子大と新座市教委
去る二月二十四日、平成二十年度教員研修モデルカリキュラム開発プログラム推進事業((独)教員研修センター委嘱)の成果を発表し今後に活かすシンポジウムが、十文字学園女子大(宮丸凱史学長)と新座市教育委員会により開催された。
同事業は、団塊世代の小・中学校教員の大量退職期を迎え、その優れた授業キャリアを若手の後輩教員に伝授し、一層の「授業力」向上を図ることが狙い。同大の中ホールで開かれたシンポジウムでは、子どもの目・耳・頭を授業に集中させ、豊かな表現力で教室全体に一体感を作り上げることで定評のある小城正重新座市立八石小学校教諭が一年生の教室で実際に授業を行い、これを録画したDVDを会場の全員が視聴した。続く金子廣志新座市教育長と小城教諭との対談では、授業開始後五分もかからぬうちに子どもを引き付けて離さない教師の全身を使った表現力、授業の盛り上げ方などについて意見が交わされ、小城教諭は「子どもが話しかけてきたら、この子しか見ない」集中力の大切さに触れた。
第二部「これからの時代における教員研修―校内研修の充実」では、千々布敏弥・国立教育政策研究所総括研究官、横山芳春・沖縄県那覇市立宇栄原小学校校長、横須賀薫同大教授(元宮城教育大学長)が、▽収録された良い授業を視聴し継承することの大切さ、▽地道な授業研究の必要、▽世界で評価されている日本の授業―などについて話し合い、横須賀教授が「教師が子どもに求めている学びや生きる力を、何よりも教師自身が自らに問いかけそのように努力する姿勢があってこそ、授業研究の質が高まっていくはずである」と、締めくくった。