平成21年2月 第2347号(2月4日)
■短大法人53.4%が帰属収支差額比率マイナス
「今日の私学財政」短大法人・部門
【短期大学法人】
総資産は、短期大学の大幅な減少により平成四年度比の趨勢率で四六・三%と半減した。特に流動資産の減少が著しい。
一法人当たりの総資産をみると、対平成四年度比の趨勢率は八九・三%と短期大学法人全体の総資産での趨勢率より高く、小規模短期大学の四年制大学化の影響が資産規模の維持につながっていると考えられる。また、有形固定資産、その他の固定資産、流動資産のうち、その他の固定資産が平成十四年度の一六億九二〇〇万円(構成比率:一九・二%)から十九年度の十七億二一〇〇万円(同:二一・七%)へと増加している。一方で、流動資産は、十四年度の一六億五四〇〇万円(構成比:一八・七%)から十九年度の十二億五三〇〇万円(同:一五・八%)と減少は大きく、収入の悪化に伴って資金が流出していることが伺われる。
総負債(固定負債+流動負債)は、短期大学法人の大幅な減少によって、平成十四年度の二五億四四〇〇万円から一四億九七〇〇万円(十九年度)まで減少している。一法人当たりの負債は、一一億一〇〇万円(十九年度)であった。
また、消費収入差額の超過額は、十四年度の二億円から十九年度の七億四〇〇〇万円へと大幅に増加している。消費収支の状況をみると、一法人当たりの帰属収入は、平成十四年度と比べて十九年度は、二億円減少し一四億七七〇〇万円となっている。なお、十九年度の一法人当たりの基本金組入額は、二億四〇〇万円となっており、減少傾向にある。
帰属収支差額比率[(帰属収入―消費支出)÷帰属収入]がマイナス(消費支出比率が一〇〇%を超える)の法人は、六四法人、全体の四七・一%となった。このような収支状態が続く法人では、将来の施設・設備の取り替え更新の困難さや今後の学校法人経営に大きな影響が出ると予想される。
【短期大学部門】
帰属収支差額は十九年度よりマイナスに転じ、過去の蓄積の消費が懸念される。構成比率をみると、人件費(十九年度:六一・六%)と経費(同:三八・〇%)がともに大幅に上昇しており、収入の減少に支出の削減が追いつかず、十九年度は赤字に転じることとなった。奨学金と委託費の上昇は、学生確保と人件費削減のためと推察できるが、帰属収入差額を好転させるほどの効果は表れていない。
帰属収支差額比率がマイナス(消費支出率が一〇〇%を超える)の部門が、二〇三校、全体の五三・四%と半数を超えた。減価償却費を超えた資金の流出が発生している学校が多く存在していると推察される。