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平成21年2月 第2346号(1月28日)

世界の大学改革の潮流 大学財務センターが各国研究者招きシンポ

 世界各国で、大学の教育・研究の持続的発展を支える公的支援の少なさが指摘されている一方、社会へのアカウンタビリティ(説明責任)等も求められている。そのため、多くの国で様々な大学改革が実施されてきた。このたびは、こうした改革による経験の蓄積を検討すべく、諸外国から大学研究者を招き、高等教育システムの改革とその動向を議論した。
 発表者は、山本 清同センター研究部長、水田健輔同センター准教授(日本)、アルベルト・アマラル・ポルト大学教授(欧州)、王蓉北京大学中国教育財政科学研究所所長(中国)、デイビッド・ライト・テネシー州高等教育委員会政策・計画・調査研究担当副ディレクター(米国)、エバンシア・シュミット・オーフス大学准教授(デンマーク)、サイモン・マージンソン・メルボルン大学高等教育研究センター教授(オーストラリア)。それぞれ各国の高等教育の傾向などについて解説した。
 発表のあった各国は、知識社会の到来、高等教育のグローバル化等を受け、共通した環境変化とその対策に迫られている。各国大学の改革は、ほぼ同様の方針を採っている。
 まず、政府は大学に対してニュー・パブリック・マネジメント(NPM:民間の経営、成功事例を公共部門に適用し、効率的で質の高いサービスの提供を目指す手法)を導入し、効率化を目指している。
 次に、大学間の競争原理を働かせ、資源の集中と選択等を行い、国際的に優れた研究を行なうトップの大学への大規模な資源投下を行なっている。そのデメリットとして、大学間の格差化、階層化が起こっている。
 また、大学のより自由度の高い経営が可能な独立法人・財団法人への移行が進み、財政面での支援が徐々に減少している。一方で、政府の国際戦略などの影響を受け(成果と連動した予算等)、政府の介入は増えている。
 更に、大学経営については、トップへの権限を集中させ、少人数でスピーディに経営判断ができるようにしている。また、外部有識者を登用したり、中長期計画の策定により戦略的大学経営を行なっている。
 最後に、ガバナンス体制を確立し、多様なステークホルダーにより評価を受けている。また、ステークホルダーへのアカウンタビリティを負っている。
 発表の後のパネルディスカッションでは、各国の研究者が、日本の高等教育改革の状況(特に国立大学)について、「日本と世界では(国立)大学改革のトレンドは変わらないように見える。独立法人(国大法人)化、トップへの権限集中など…日本は”アメリカ化”が進んでいる。ただ、高等教育政策は、それぞれ自国の方針に即しているかが重要だ」等と評価した。

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