Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成21年1月 第2345号(1月21日)

人材育成、ips細胞などに重点投資 科学技術・学術3局の21年度予算案

 昨年十二月二十四日、文部科学省の平成二十一年度予算案が閣議決定された。その中から科学技術・学術関係三局の予算案の概要を掲載する(カッコ内は対前年度比増▲減)。昨年に続き、人材育成・確保のための投資の拡充がなされるとともに、@PS細胞研究など戦略的研究への予算が重点的に措置された。

 1人材育成・確保のための投資の拡充

 一、子どもたちの理科・数学に対する興味・関心の喚起及び能力の伸長―一一四億六〇〇〇万円(二五億八五〇〇万円)
 概要:理数に興味関心の高い子どもの能力を伸長する環境を提供するため、理数教育を充実する。
 ・理数好きな子どもの裾野の拡大▽理数系教員養成拠点構築事業【新規】―三億四〇〇〇万円、▽理科支援員等配置事業―二四億五〇〇〇万円、▽理科教育等設備整備費補助―二〇億円
 ・理数に興味・関心の高い生徒・学生の個性・能力の伸長▽スーパーサイエンスハイスクール―一四億八九〇〇万円、▽国際科学技術コンテスト支援事業―四億四九〇〇万円、▽理数学生応援プロジェクト―三億二五〇〇万円、▽未来の科学者養成講座―一億五〇〇〇万円
 二、大学における人材育成機能と産学が協働した人材育成の強化―五五九億四三〇〇万円(▲一七六億三一〇〇万円)
 概要:大学院教育の抜本的強化や国際的に卓越した教育研究拠点の形成、人材養成面での産学連携強化。
 ・大学における人材育成▽組織的な大学院教育改革推進プログラム―五七億四六〇〇万円、▽グローバルCOEプログラム―三四二億二八〇〇万円、▽地域再生人材創出拠点の形成(科学技術振興調整費)―二二億五〇〇〇万円、▽原子力人材育成プログラム―二億四〇〇〇万円
 ・産学が協働した人材育成▽産学連携による実践型人材育成事業―五億一三〇〇万円、▽先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム―八億九五〇〇万円、▽地域産業の担い手育成プロジェクト―三億三五〇〇万円、▽若手研究者ベンチャー創出推進事業【新規】―一億四八〇〇万円
 三、若手・女性・外国人研究者の活躍促進による研究活動の活性化―八九一億六〇〇万円(三〇億九一〇〇万円)
 概要:若手・女性・外国人研究者が能力を発揮できる環境を整備する。
 ・若手研究者等の活躍促進▽優秀な博士課程学生への経済的支援の充実(特別研究委員事業)―一一〇億四〇〇〇万円、▽若手研究者養成システム改革プログラム(科学技術振興調整費)(若手研究者の自立的研究環境整備促進―八三億四四〇〇万円、イノベーション創出若手研究人材養成―一四億八〇〇〇万円)、▽「若手研究」等の充実(科学研究費補助金)―三五四億三〇〇〇万円、▽戦略的創造研究推進事業(さきがけ)―七六億四一〇〇万円、▽海外特別研究員事業―一六億二〇〇万円、▽若手研究者への国際研鑽機会の充実―七億四〇〇〇万円
 ・女性研究者の活躍促進▽女性研究者支援システム改革プログラム(科学技術振興調整費)(女性研究者支援モデル育成―一七億五〇〇〇万円、女性研究者養成システム改革加速【新規】―五億円)、▽出産・育児等による研究中断からの復帰支援(特別研究員事業)―三億九三〇〇万円
 ・外国人研究者の活躍促進―五五億二八〇〇万円
 四、国民が科学技術を理解し、素養を高めるための取組の強化―八七億七六〇〇万円(▲三八〇〇万円)
 概要:科学者等が国民に科学技術を伝え、説明責任と情報発信を強化する活動を推進。科学技術の基礎知識や能力の向上を推進。
 ・地域の科学舎推進事業―七億七一〇〇万円
 ・国立科学博物館―三一億二〇〇〇万円
 ・日本科学未来館―二三億五八〇〇万円

 2多様な技術シーズを生み出す基礎研究の充実と国際競争力の強化

 一、学術研究の振興
 @大学・大学共同利用機関等における独創的・先端的基礎研究の推進―一一四五億七三〇〇万円(▲四一億四〇〇万円)
 概要:大学・大学共同利用機関等において、施設・設備や学術資料等の協働利用、共同利用・共同研究体制等を推進。老朽化・陳腐化した基盤的研究設備や学術情報基盤設備、共同利用・共同研究に供する大型設備を整備。
 A科学研究費補助金の拡充―一九六九億九八〇〇万円(三七億九八〇〇万円)
 概要:挑戦的研究の強化や新領域の開拓、若手研究者への投資拡大、多様性を確保する基盤研究の充実、間接経費の拡充。
 B人文・社会科学の振興―八億一一〇〇万円(二億一〇〇〇万円)
 概要:政策的・社会的ニーズに対応した研究の推進。国公私大を通じた共同利用・研究拠点の整備。
 ▽近未来の課題解決を目指した実証的社会科学研究推進事業―一億四九〇〇万円、▽世界を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業―一億一〇〇万円、▽人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進事業―五億二〇〇万円
 二、イノベーションを生み出す基礎研究の強化―五〇三億四〇〇〇万円(一五億一〇〇〇万円)
 概要:基礎研究イノベーションの種となる技術シーズを創出するため、戦略的創造研究推進事業や戦略的イノベーション創出事業を実施する。
 ・戦略的創造研究推進事業―四九七億九〇〇〇万円、▽戦略的イノベーション創出推進事業【新規】―五億五〇〇〇万円
 三、科学技術システムの改革
 @産学協働によるイノベーション創出を目指した研究などのシステム改革支援―三六三億四〇〇〇万円(二五四億円)
 概要:総合科学技術会議の方針に沿って、科学技術システム改革の優れた取組等を支援。「経済財政改革の基本方針2008」等に基づき、「革新的技術推進費」を創設。
 ・科学技術振興調整費―三六三億四〇〇〇万円(うち、革新的技術推進費―六〇億円)
 A世界トップレベルの研究拠点の形成―七一億九〇〇万円(同額)
 概要:世界トップレベルの研究拠点を形成するため、大学等の拠点構想に集中支援を行なう。
 B産学官連携による大学等の「知」の社会還元及び科学技術による地域活性化―四二四億六二〇〇万円(四億一六〇〇万円)
 概要:大学等における産学官連携体制の強化や地域におけるクラスターの形成支援、産学連携拠点の形成支援等を推進。
 ・大学等における研究成果の社会還元の推進―一二三億三二〇〇万円
 ・地域イノベーション・システムの強化―二二九億三九〇〇万円
 ・産学官連携拠点の形成支援―五九億七五〇〇万円
 C競争的な研究環境形成の促進及び研究費の効果的・効率的運用の一層の徹底―三八七一億五二〇〇万円(七九億三〇〇万円)
 概要:研究費の選択の幅と自由度を拡大、競争的な研究開発環境形成を促進する競争的資金の拡充。
 ・競争的資金の拡充―三八六六億三九〇〇万円
 ・研究費の効果的・効率的運用の一層の徹底(研究費の適正な執行に係る指導等を強化するための体制整備―一一〇〇万円、▽府省共通研究開発管理システムの運用―五億二〇〇万円)
 四、先端研究施設や研究用動植物など研究開発基盤の整備と利用促進―二五九億一一〇〇万円(九億二一〇〇万円)
 概要:大学、研究開発法人等が保有する先端的な研究開発施設等の共用を促進するとともに、先端計測分析技術・機器の開発等による知的基盤の整備を図る。
 ・研究施設、設備等の整備、共用の促進―一四三億五三〇〇万円(▽大型放射光施設(SPring―8)の共用の促進―一〇八億四七〇〇万円、▽大強度陽子加速器施設(J―PARC)の共用の促進【新規】―五億円、▽先端研究施設共用促進事業(研究開発基盤整備補助金の一部【新規】)―三億円)
 ・知的基盤の整備―一一五億五八〇〇万円(▽先端計測分析技術・機器開発事業―六三億円、▽ナショナルバイオリソースプロジェクト(研究開発基盤整備補助金の一部)―一三億六八〇〇万円)
 五、科学技術外交の戦略的推進
 @地球規模の課題解決に向けたアジア・アフリカ等との協力強化(ODAとの連携)―一一億五四〇〇万円(六億五四〇〇万円)
 概要:環境・エネルギー、防災、感染症分野等の課題について、開発途上国のニーズに基づき、共同研究等の科学技術協力を実施。
 ・地球規模課題対応国際科学技術協力事業―一一億五四〇〇万円
 A先進国を中心とした国際共同研究等の推進―一五億六八〇〇万円(三億一八〇〇万円)
 概要:単一国では解決できない地球規模課題等への対応や、諸外国との関係強化等を推進。
 ・戦略的国際科学技術協力推進事業―一五億六八〇〇万円
 B我が国の国際的プレゼンス向上に向けたネットワーク形成への支援―一三九億七二〇〇万円(▲八億八三〇〇万円)
 概要:開発途上国での我が国研究者等の活動の強化、国際的な合意形成や枠組み作りの主導性を担う外交人材への支援や国際活動の基盤整備を推進。
 ・研究者ネットワークの形成・強化―八四〇〇万円
 ・各国学術振興機関との連携によるボトムアップ型国際共同研究の推進【新規】―六六〇〇万円

Page Top