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平成21年1月 第2345号(1月21日)

"学士力"確保がカギ GP合同フォーラム開催

 文部科学省と(財)文教協会は、去る一月十二日・十三日に、パシフィコ横浜(横浜市・西区みなとみらい)において大学教育改革プログラム合同フォーラムを開催した。基調講演、パネルディスカッション、各分科会及びポスターセッションでの講演、事例発表など熱気溢れるフォーラムとなった。
 「学士課程教育の構築に向けて」答申を受けて、会場では大学教育改革の動向に関心が高まっている様子が手に取れた。
 初日の基調講演では、同答申を取りまとめた中教審大学分科会長でもある、安西祐一郎慶應義塾長が、「大学教育の転換と革新―いま求められる大学教育のあり方について」と題して、日本の大学教育について各データをもとに、公財政支出拡充により、大学の教育力を飛躍的に高める基盤づくりを伴う改革の必要性等を示した。日本の大学教育のグローバル化はまだ立ち遅れているとして、その課題も含んだ「中長期的な大学教育の在り方について(諮問)」の審議動向も注目に値する等と述べた。
 二日目のパネルディスカッション「学士課程教育の構築に向けて」では、進行役に濱名 篤関西国際大学長、パネリストに郷 通子お茶の水女子大学長、黒田壽二金沢工業大学学園長・総長、諸星 裕桜美林大学大学院教授、中西 茂読売新聞編集委員らが登壇して、同答申の印象、以降の課題等を討議した。
 “学士力”構築後の社会の受入れ風土をつくるためにも、大学はもっと情報開示・発信をしていくべき、機能分化のもと、到達目標を設定し、その到達度合いに応じた評価を行うべき等といった意見が出た。改革に向けては、強いリーダーシップが必要で、実行する組織づくり、組織の機能分化等、大学の組織を見直すことが課題であるとした。
 最後に、義本博司文科省高等教育局大学振興課長が、平成二十一年度新規プログラムについて概要を説明した。新規の大学教育・学生支援推進事業は、答申「学士課程教育の構築に向けて」で示されている、各大学における学士力の確保・教育力の向上や、学部教育等の充実を図ることを目的とした「大学教育推進プログラム」と、私立大学を中心に各大学の就職支援の強化など総合的な学生支援の取組を推進することを目的とした「学生支援推進プログラム」を実施するもの。さらに、このたび増額した戦略的大学連携支援プログラムにおいては、質保証への連携した取組みを期待すると述べた。
 そのほか、両日通してGPごとの分科会、ポスターセッションが行われ、多くの事例が発表された。特色GP及び現代GPを発展的に統合した「質の高い大学教育推進プログラム」をはじめ、各分科会場では、いかにして目標達成の仕組みを学内に構築するか、PDCAサイクルを定着させるかといったヒントを得ようと、取組事例に熱心に耳を傾ける姿が多く見られた。

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