平成21年1月 第2344号(1月14日)
■待ったなしの大学改革 私学事業団がマネジメントセミナー開く
日本私立学校振興・共済事業団(鳥居泰彦理事長)は、昨年十二月八日、東京・千代田区の明治大学において、平成二十年度私立大学・短期大学等マネジメントセミナーを開催した。
一八歳人口が一二〇万人台から一一〇万人台へと緩やかに減少していく今後一〇年間において、私立の大学・短期大学では特色ある教育・研究の実施、地域貢献、企業との共同研究、社会ニーズに合った人材育成などを通じて、一層の教育改革を推進し、学校の存在意義を明確にするとともに、経営体制の強化と財政基盤の充実が課題となっている。
そこで、同事業団は、今年度に実施した「学校法人の経営改善方策に関するアンケート」の結果や調査収集した経営改善の取絡み事例等に基づき、このたびのセミナーを開いた。
はじめに、同事業団私学経営情報センターの堀 敏明私学情報室長が開会の挨拶とともに、高等教育機関への入学者数・進学率等の推移、入学志願動向、財務比率の推移など私立大学の置かれている経営環境について、データを基に概説した。
続いて、基調講演に移り「高等教育の多様化時代における教育力の向上と大学経営」と題して、濱名 篤関西国際大学理事長・学長が登壇した。同氏は、大学の機能別分化等による多様化、全入時代の大学経営の課題、学生の多様化と意識変化、学士課程教育の論点(学位授与=ディプロマ・ポリシー、教育内容と方法=カリキュラム・ポリシー、入学者選抜=アドミッション・ポリシーの三つのポリシー)、学士力(ジェネリック・スキル)などのほか、同大学における学習支援の在り方、FD、初年次教育等、多岐にわたる事例を解説した。
休憩の後、同センターの小林一之私学情報室副主幹が前述のアンケートの分析結果として、「教育力の向上」をテーマに報告した。
同氏は、これからの私大に求められるガバナンスの強化、自己点検評価・第三者評価結果の活用、学生確保、教育内容の充実、学生の進路の充実等を挙げた上で、アンケートからの具体的な大学の回答をテーマごとに事例紹介した。これらの事例は、多くの大学にとって大いに参考となるものであった。
最後に、同センターの西井泰彦センター長が拡大志向の見直しと質的充実の展開、規模に応じた適切な縮小均衡への努力、地域における私大の存在意義の再確認等、今後の私学の課題を述べ同セミナーのまとめとした。