平成21年1月 第2344号(1月14日)
■『高等専門学校教育の充実について』
中教審の概要
1面掲載の通り、十二月二十四日に中教審で「高等専門学校教育の充実について―ものづくり技術の継承・発展とイノベーションの創出を目指して―」が答申された。その概要は次の通り。
一、高等専門学校教育の現状と社会経済環境の変化
○高等専門学校は、中学校卒業後からの五年一貫の本科とそれに続く二年間の専攻科での実践的専門教育により、実践的・創造的な技術者を養成
○卒業生の高い就職率・求人倍率に見られるように、社会から高く評価
○社会経済環境の変化:高等教育のユニバーサル化、技術の高度化、一五歳人口減少、理科への関心の薄れ、進学率の上昇、地域連携強化の必要性の高まり、行財政改革の進展
二、高等専門学校教育の充実の方向性
【基本的な考え方】
○それぞれの高等専門学校が自主的・自律的改革に不断に取組み、社会経済環境の変化に積極的に対応
○中堅技術者の養成から、幅広い場で活躍する多様な実践的・創造的技術者の養成へ
○多様な高等教育機関のうちの一つとして本科・専攻科の位置付けを明確に
○産業界や地域社会との連携を強化し、ものづくり技術力の継承・発展を担いイノベーション創出に貢献する技術者等の輩出へ
【具体的方策】
@教育内容・方法等の充実
▽地域の産業界等との幅広い連携の促進、「共同教育」の充実、▽一般教育の充実、▽技術科学大学との連携の強化、▽自学自習による教育効果も考慮した単位計算方法の活用、▽退職技術者を含む企業人材等の活用
A入学者の確保及び多様な学生への支援
B大学への編入学者増加への対応
C教育基盤の強化
▽教員等の確保、FDの実施等、施設・設備の更新・高度化、事務部門強化、財政支援の充実
D教育研究組織の充実
▽科学技術の高度化等に対応した学科の在り方の見直し、▽工業・商船以外の新分野への展開、▽地域のニーズを踏まえた専攻科の整備・充実等、▽地域と連携しつつ国立高等専門学校の再編・整備について検討
E高等専門学校の新たな展開
▽公立の専門高校や大学校等を基に新たな公立高等専門学校を設置する可能性を含め、潜在的需要を発掘し、需要がある場合には支援方策等について検討
F社会との関わりの強化
▽留学生受入れ、教員の海外派遣、海外技術協力など国際的な展開の推進、▽広報活動強化による認知度向上、共同研究の推進、公開講座等の展開