平成21年1月 第2343号(1月1日)
■協調と競争で共生を
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年四月に日本私立大学協会九州支部長をお引き受けしましたので支部長として、また副会長として初めての新年を迎えることとなりました。
それにしてもこの一年弱の間の変化の速さには驚かされるばかりです。日本においては一度内閣総理大臣が代わったのはともかく、文部科学大臣は二度も交代があり、申し訳ないですが前任者の名前がすぐには出てきません。アメリカではブッシュ共和党政権に代わってオバマ民主党政権となることとなりました。政治の世界も目まぐるしかったのですが、経済界はさらに激しくアメリカ発の世界金融危機とともに原油や穀物価格が乱高下しました。この世界的経済不況は一〇〇年に一度の大不況と言われる方もあり、であればもはや恐慌と言うべき状況なのかもしれません。
教育界においても教育振興基本計画は期待したほどの内容とはならずに閣議決定され、裏切られた思いがしたものです。とりわけ高等教育の世界においては「学士課程教育の構築に向けて」が答申されないうちに、さらに大学教育の根幹に関わるような「中長期的な大学教育の在り方について」の諮問がなされました。
一方では唐突に「留学生三〇万人計画」が打ち出され、この円高の中、私学にとって厳しい施策とならないか不安です。今年は今までの教育の市場化問題からは少し間をおくことができるのでしょうが、教育内容あるいは学力レベルの世界通用性問題がいよいよ本格化してくる年となることでしょう。いずれにしても、大変化の時代は大変な時代ですが、九州支部は今年も「協調と競争で共生する」をモットーに前進したいものです。
学問の神様、太宰府天満宮の宮司に本学園の理事をお願いしております。宗教と教育とは全く異なるものですが、私学教育に限ればある面似ているところも無きにしも非ずです。一番の共通点は理念、教えの継承ということでしょうか。宮司に「太宰府天満宮の一一〇〇年の歴史の中で一番厳しかったのは何時だった」と聞くと彼はまじめな顔をして「応仁の乱から戦国時代」と答えました。社会科の歴史ではそこまでは学ばなかった当時の悲惨な社会状況を改めて知り、今日の状況と比べ何のこれしきと新たなファイトが湧き出てくる次第です。
「梅先天下春」梅は天下の春に先駆ける。教育界の先達からお聞きした言葉です。ご存じのように菅原道真公も梅が好きでした。梅のように清々しくそして時代を先取りしたいものです。本年もよろしくお願い申し上げます。