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平成21年1月 第2343号(1月1日)

学士力の充実・向上

 日本私立大学協会副会長/愛知学院大学学院長・学長 小出忠孝

 新年明けましておめでとうございます。会員の皆様には、お健やかに新春を迎えられたことと、心よりお慶び申し上げます。
 日本私立大学協会は現在三八五大学が加盟する、わが国最大の大学団体となっています。高等教育(大学)の七五%を私立大学が担っているわが国では、高等教育の将来は、本協会加盟の各大学の双肩にかかっていると言っても過言でなく、本協会の責任は極めて大であります。
 現在わが国社会は知識基盤社会の到来により、高等教育を受けた人材の必要性が益々大となってきています。質の高い教育により「指導的人材」の育成と共に、高い教養と専門的能力を有する「二十一世紀型市民」の育成が重要であり、高等教育の責任は極めて大であります。
 そのため中央教育審議会では「高等教育の将来像」、「新時代の大学院教育」の答申に次いで、昨年は「学士課程教育の構築に向けて」を答申し、グローバル化時代のわが国高等教育の充実、強化、質の保証に向けて各大学の努力を要請しています。
 しかしながら一八歳人口減少に加えて、学生の首都圏、近畿圏への集中による二極化により、協会所属の地方の中小大学は学生確保が厳しくなり、定員未充足校が五〇%近くに及んでいます。私学にとって定員確保は最重要課題であり、そのためには国立大学や大都市の大規模私立大学の定員超過の自粛を強く要請していく事が、協会として重要課題となっています。
 さらにわが国の高等教育進学率は五四%と上昇していますが、最近の先進諸国の進学率の上昇は著しく、わが国の進学率が高い水準にあるとは言えず、OECD諸国の中でも既に下位に属しています。若年人口が減少する中で学士レベルの能力を有する人材の供給を維持・増強する事は極めて重要であります。
 その点、各大学がアドミッション・ポリシーを明確にし、大学で学ぼうという意欲、能力がある若者は出来るだけ積極的に受け入れていくこと、中教審の指摘する様に少なくとも成績中位以上の意欲ある高校生は進学させていくことが必要と考えます。
 しかし、このような学力、学習意欲等の多様な学生の受入れに伴い、「質」の維持・向上のため、教育内容・方法、学修の評価を通じた「質」の管理を厳格化し、さらに出口管理を通じて学士力を充実・向上させ、社会的に認められる学士を育成する努力が必要となります。そのためFD・SD活動により全教職員の意識改革を行い、各大学が特色ある教育により、社会の発展に貢献する事が求められています。
 私学を取り巻く厳しい環境の中、各大学の一層の発展を期待するものです。新春にあたり本年も今まで以上のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

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