平成20年12月 第2342号(12月17日)
■質的充実への展開を
私学事業団 西井私学経営情報センター長が講演
日本私立大学協会の中・四国支部(支部長=石田恒夫広島経済大学理事長)は、去る十一月二十六日、高松市の全日空ホテルクレメント高松において、平成二十年度中・四国支部秋季総会を開催した。同支部所属の三〇大学から、二四大学四四名の代表者らが出席。八月に行われた同支部分科会の報告のほか、日本私立学校振興・共済事業団私学経営情報センター長の西井泰彦氏による「私立大学の現状と未来への展望」と題する講演などが行われた。
開会にあたり、石田支部長は「私立大学を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、地方の大学は、存亡の危機にある。特に、中・四国は非常に厳しい状況にある。本日出席の大学が、各々の建学の精神を十分発揮できるよう、互いに切磋琢磨しながら共存の道を選びたい。意見交換を通して、各々の大学の発展を期したい」と挨拶を述べた。また、当番大学である四国学院大学の菅照昌常務理事が歓迎の挨拶を述べた。
総会では、八月二十日と二十一日に福山で行われた同支部分科会と、平成二十年度中・四国地区私立大学実態調査などについて報告があった。
続いて、講演に移り「私立大学の現状と未来への展望」と題して、日本私立学校振興・共済事業団私学経営情報センター長の西井氏が、私立大学等の財政状況と少子化への対応、中途退学防止に向けての取組例などについて述べた。
少子化と大学増加に伴う高等教育規模の縮小と競争激化により、コンパクト化(縮小均衡)が課題となっている。@拡大志向の見直しと質的充実への展開、A希望に応じた適切な縮小均衡への努力、B地域における存在意義を再確認して活性化していくことなどが重要であると述べた。
また、大学設置基準の教員数などを例に挙げ、具体的な課題を示した。同基準では収容定員数が、例えば三二〇人(入学定員八〇人)から六〇〇人(同一五〇人)の間では、専任教員数が一〇人などと学部系統ごとに決まっている。入学定員を一五〇人から八〇人にしても教員一〇人の基準は変わらない。つまり、学生数が半分近く減っても専任教員は基準上減らせない。
同氏は、優れた学校改革に見られる共通の特徴として、@全教職員の理解と協力で改革を推進していること、A学外(地域、社会、他の学校等)との連携を図っていること、B学生支援体制を充実し、在学生の力を活用していること、C経営状況・財政面のチェックと改善を進めていることなどを挙げた。
本部報告では、「私立大学を取り巻く諸問題について」と題して、同協会の小出秀文事務局長が、講演を行った。
最後に、懇親会が催され、和気藹々とした雰囲気の中、全日程を終了した。