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平成20年12月 第2341号(12月3日)

実効性あるプログラムを

 去る十一月二十九日と三十日の両日、玉川大学(小原芳明学長)において、初年次教育学会(会長=山田礼子同志社大学教授)第一回大会が開催された。
 いまや初年次教育は各大学に普及し、多様な実践活動が展開されてきている。多くの具体的課題に直面し、より効果的なプログラムやその実践が模索されている状況でもある。初年次教育がこのように急速に拡大してきたことを背景に、同学会は本年三月に、研究のみならず実践のためのネットワーク作りを目的として発足した。
 第一日目はワークショップで幕を開け、「初年次教育の評価の方法を考える」、「初年次教育で班活動を通じてゼミ発表スキルを獲得させる方法」、「どのように初年次教育の組織導入を図るか」、「実行性・実効性のある初年次教育を実現する」、「初年次教育における教職協働の在り方を探る」、「総合的な初年次教育プログラムを開発する」、「大規模・研究志向・人文系学部における『基礎演習』の設計と実践」、といったテーマごとにわかれて意見交換が行われた。
 続いて、全体会では参加者が一堂に会し、まず山田会長が挨拶を述べ、次に開催校挨拶として玉川大学の小原学長が歓迎の意を表し、山田会長の基調講演に移った。
 「日本の初年次教育の展開―その現状と課題―」と題して、初年次教育の展開の軌跡、現状と課題、同学会の役割と課題、そして初年次教育の新たな展開について述べた。
 「学士課程教育の構築に向けて」に提示されたように、大学がより教育を重視する場へと変革することを、政策面や社会においても求められるようになったことから初年次教育が急速な普及をみせている。
 「なぜ初年次教育を導入するのか」、まさに大学ごとに違う問題が浮き彫りになり、初年次教育の「多様化の多様化」を迎えているのだとし、自校オリジナルの初年次教育が求められている。さらに、日米の実施状況と内容比較から、日本の場合は高校と大学の学習内容における共通要素が少ないために高大の接続がスムーズではなく、そのことが初年次教育の「多様化の多様化」を生んでいる可能性がある、と問題提起をした。接続を前提とした高大連携としては、AP(Advance Placement)について解説をした。
 多様化する学生に対しての取組を構築すること、研究および評価から政策ならびに実践にいたる結びつきが弱いこと等を課題として挙げ、総合的に初年次生を支援するという新たな展開への方向性を示した。
 最後に学会総会が開かれ、第一日目の日程を終えた。会場を移して開かれた懇親会では、多くの参加者が情報交換を行った。
 第二日目は、各ラウンドテーブルに分れて、各会場ではテーマに沿った議論が行われた。午後には、国公私立大学で様々に取り組まれている事例等、各会場での自由研究発表が行われ、全日程を終了した。

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