平成20年11月 第2339号(11月19日)
■体験から自分磨いて 学生ボランティア大会開く
(財)学生サポートセンター(北澤俊和理事長)は、去る十一月十四日、東京都内のホテルで、全国学生ボランティア大会を開催した。
同センターは、学生のボランティア活動を支援する助成金を支給している。平成十九年度は五一団体を助成。このたびはそのうち四団体が活動報告を行った。
基調講演には、寺島実郎(財)日本総合研究所会長が登壇。「企業経営でも個人の生き方でも、成功の本質は時代認識を持つこと。大人の条件とは、経済的自立(カセギ)と社会への貢献(ツトメ)。バランス感覚を身に付けていくことが大事だ」と社会の読み解き方を講演した。
国際分野では、一橋大学の「すなふきん」が発表。留学生と共に小中学校を訪れ、子供たちに国際交流の機会を提供している。
地域連携をテーマに活動を行う名城大学の「ボランティア協議会」は、@周辺地域のクリーン活動を行う「環境ボランティア」、A大学周辺地域の防犯パトロール活動を行う「地域安全パトロール」、B災害被災地の復興支援活動を行う「災害復興ボランティア」、C視覚障がい者、盲導犬との交流とサポートを行なう「盲導犬ボランティア」の四つを主軸に据え活動を行っている。
環境分野では、奈良女子大学の「きゃんす家」が事例を紹介。里山林などの整備を行なうと共に、子どもを対象とした環境教育を行っている。
最後に、福祉分野で鶴見大学の「児童文化部:みつる会」が発表。近隣の保育園や子育てサークルを訪問し、人形劇などを行なっている。当日も、ヘビダンスの実演があった。
休憩を挟んでのパネルディスカッションでは、コーディネーターに興梠 寛昭和女子大学人間社会学部特任教授、パネリストに、島田京子(学)日本女子大学事務局長、トヨタ自動車株式会社社会貢献推進部社会貢献推進室の鈴木盈宏氏、出口寿久文部科学省生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室室長補佐、外川隆早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター事務長を迎えた。
まず、興梠氏が、「ボランティア活動は大学生がリーダーシップを取り、時代を切り開いてきた。ハーバード大学では、ボランティアの意義として、@自己への探求、A社会問題への理解、B学習成果の応用を挙げている」ことなどを紹介した。
島田氏は、前職では企業で学生のNPOインターンを支援していた。その時のエピソードを紹介しつつ、「これからの社会は何が起こるかわからない。日常と違う世界を体験し、自分で判断する経験を培って欲しい」と述べた。
外川氏は、「ボランティア体験の「答え」は一つではない。「こんな感じ方もあるのか」と議論しあうことも大事。体験を通して、自分自身を磨き続けて欲しい」とその意義を語った。
出口氏は、行政のボランティア支援施策を紹介すると共に、「ボランティア活動をしたいと考える人は多い。ボランティアをしたい方に何かきっかけを作れないかと考えている」と述べた。
鈴木氏は、「学生に期待するのは企業とのコラボレーション。学生と一緒になって、何かをやっていきたい」と学生ボランティア活動への期待を述べた。
その後、会場を移して懇親会となり、盛会のうちに終了となった。