平成20年11月 第2339号(11月19日)
■社会環境の変化に対応した教育を 専修学校の検討会議が報告書
専修学校の振興に関する検討会議(座長=丹保憲仁北海道大学名誉教授)は、このたび、「社会環境の変化を踏まえた専修学校の今後の在り方について」を取りまとめた。同会議は、平成十九年九月に設置され、一二回にわたり、専修学校の在り方について検討を重ねてきた。報告書のポイントは次の通り。
(一)社会環境の変化に対応した若者の社会的自立を促す教育の在り方
就業構造の変化や厳しい若年者の雇用状況など、若者を巡る厳しい環境を背景に、若者が社会環境の変化に対応し、生涯にわたる人生設計を立て、社会的・職業的に自立していくことは難しくなってきている。
このため、これまでの教育の在り方・課題を踏まえ、専修学校のみでなく、大学・短期大学、高等専門学校、高等学校等の教育全体を俯瞰して、必要な見直しを図り、新しい「職業教育」のシステムを形成していくことが求められる。
(二)論点のまとめ
社会環境の変化に対応したキャリア教育・職業教育を推進していくために、@既存の学校制度においてキャリア形成支援のための教育の更なる充実を図るのか、それとも、A職業を明確に意識した教育に特に重点を置き、学校教育の再構築に向けた方策をとるのか、という二つの考えがあるが、後者の考えをとる場合、次の論点を踏まえ、更に議論を深めることが必要。
●現行の各学校種の目的や機能との関係をどのいように明確に整理していくのか。また、職業教育を一層推進していくという観点から、現行制度に比べて学校教育体系全体としてどのような改善が期待できるのか、再構築を図るとした場合に課題はないのか。
●これらの整理を踏まえて、新たな学校種についての設置基準をどのように設定するのか。
●職業教育の一層の推進を図るという観点から、制度的な柔軟性を特徴とする現行の専修学校の役割、機能について、どのように評価し、位置付けるのか。
(三)今後の検討の方向性等
新たな学校種に関しては、キャリア教育・職業教育の在り方の全体像を議論する中で、重要な課題の一つとして、より総合的・多面的で専門的な検討を行い得る場である中央教育審議会において、議論を深めていくことが適当である。
専修学校の新たな在り方について、学校教育制度全体の中で整合的に位置付けていくためには、キャリア教育・職業教育の在り方や意義を整理し、後期中等教育・高等教育における教育の在り方についても視野に入れつつ検討を進めていくことが必要である。
今後の生涯学習社会におけるキャリア教育・職業教育の在り方に関しては、人々の職業観、産業構造、労働市場や雇用慣行、職業能力開発に関する施策等とも関連することから、関係府省、地方公共団体、経済団体等とも連携しつつ検討していく。