平成20年11月 第2339号(11月19日)
■秋季総会 高専の役割・在り方協議
日本私立高等専門学校協会(会長=神野 稔近畿大学工業高等専門学校長)は、去る十一月十日、神戸市のクラウンプラザ神戸において第九〇回秋季総会を開催した。
開会に当たり、神野会長は、近大高専の現況を紹介しつつ国による私立高専への一層の支援充実を謳った挨拶を行った。
その後、黒田壽二金沢工業大学学園長・総長による「高等教育改革の動向」と題する講演があり、同氏は、教育基本法改正、中教審の動向、今後の見通し等について解説した。
中教審の「学士課程教育の構築」(答申案)における「学士力」は大学教育に求められるべきものであるが、同種のものとしては経産省が示す社会人基礎力、厚労省が示す就職基礎能力がある。
高専教育には、創設当時の中堅技術者養成から多様な実践的・創造的技術者養成が求められているとした上で、中教審答申「高等専門学校教育の充実について」を受けて策定される高専教育振興施策要綱(仮称)への意見反映が重要であると指摘した。さらに、概算要求から見た国立高専の動向や高校の専攻科や専門学校との差別化、すなわち高専の高等教育機関としての職業教育の構築、長期(三か月以上)インターンシップの本科導入の是非をはじめ、六〇単位を限度に四五時間を一単位とするカリキュラム編成の導入、専門学校との名称による混乱の存在などの問題点も指摘した。
質疑・応答では、シラバスの作成方法、準学士課程の質の保証などを巡り活発な意見交換が行われた。
議事に入り、平成十九年度収支決算を満場一致で承認した。
続いて、小出秀文事務局長より平成二十年度補正予算、平成二十一年度私立大学関係政府予算・税制改正要望の状況及び高専に係わる諸情勢が説明されたが、特に私立高専協会として私費外国人留学生に対する経済的支援施策の検討を行い、@学習奨励費給付期間を国費外国人留学生と同様の四年間にしてほしいこと、A授業料減免学校法人援助の対象に高専を設置する学校法人を加えてほしいこと、B日本語教育機関の利用対象に私立高専も加えてほしいことなどが提案され、文科省に要望していくことを決定した。
続いて、文部科学省専門教育課課長補佐の井戸清隆氏より「高等教育を含めた高専を取り巻く諸情勢」の解説を聴いた。
同氏は、最近の金融不況の影響を受け就職内定取り消しがでていること、中教審で検討された「高等専門学校教育の充実について」年内に答申を予定していること、その答申を受けて今後の具体的施策が取りまとめられること、専修学校制度の在り方の検討状況などについて解説したが、経営の厳しい状況でも「私立高専に進学したい」と言われるよう頑張っていただきたいと激励した。
次に、意見交換に移り、高専の名称問題、国立高専生と私立高専生との教育費の格差、学級定員の私学への影響などについて活発な質疑・応答が繰り広げられた。