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平成20年11月 第2339号(11月19日)

予算税制ほか重要課題の政策審議 第446回常務理事会

 日本私立大学協会(大沼淳会長)は十四日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で、第四四六回常務理事会を開き、平成二十一年度私立大学関係政府予算・税制改正問題等を巡る動向とその実現対策のほか、当面する私学振興に関する様々な重要問題について、今後の対応方策等を協議した。
 開会に当たり大沼会長は、不安定な経済情勢、少子化等から、社会の産業構造の変化の徴候が出てくるだろうと述べ、進むべき方向を見誤まらないようにしたいと強調した。また、これまでのように、私学に降りかかる課題への対応策を考えるだけではなく、積極的に課題を研究し、一歩前に打って出るような気構えで臨まないと実現は難しい、などと語り、その意味で大きな政策の方向を議論していきたいと挨拶した。
 協議に入り、予算・税制改正要望等について、小出秀文事務局長が要望実現に向けた文部科学省、自民党三役等への要請活動について今後の予定も含めて報告し、単に今年度の要望実現のためだけではなく、五年間の“対前年度予算比▲一%”の後の予算要望への下地をつくる上でも、大事な時であるとの考えを示した。
 また、財務省の「若者が減って、大学生も減っている」との論調に対しては、「大学の学部生は増加傾向にあり(短大生を含めると減少傾向にはあるが)、決して減少していない」ことなどを明確に示していくこと、さらに、諸外国と比べて我が国の高等教育人口はかなり低水準であり、生涯学習社会を見据えた上で高等教育人口を考え、公財政支出を促していくこと、留学生三〇万人計画に関連して、私費留学生の大半を受け入れる私学への授業料減免措置等も訴えていくことなどを挙げた上で、重要課題への意見を求めた。
 理事からは「国家として日本の教育にどんな責任を持つのか明確に伝わってこない。市場経済の原則だけで教育を考えたら、とんでもないことだ。モノはお金で買えるが、教育はそうはいかない。何が大事かを相手に理解させたい」「大学の役割に教育、研究、社会(地域)貢献があるが、地域にはそれぞれの歴史と伝統がある。地域連携が声高に叫ばれ、各大学が努力しているにも拘らず、地域性に理解を示し地域貢献を下支えする財政支出等に結びついていない。地域再生の視点からも関連予算を押し上げていきたい」など、教育の根本に関わる意見が多く出された。
 なお、税制改正については、自民党税制調査会の文教関係国会議員等に、「学校法人に対する個人からの寄附金にかかる所得控除限度額の拡大(四〇%から五〇%へ)」等を訴えていくことが報告された。
 次に、当面する私学振興の重要問題については、文部科学省私学部私学行政課の村田善則課長と小谷利恵課長補佐から、@学校法人の附随事業・収益事業について、A環境対策関係について説明が行われた。
 @では、収益事業に係る私立学校法、同施行規則等に沿って、その扱いについての考え方を示した。附随事業の範囲とは、収益を目的とせず、教育研究活動と密接に関連する事業目的を有するものであり、一方、収益事業の規模については、概ね全収益事業に関する売上高及び営業外収益が学校法人全体の帰属収入未満であることなどのほか、特に、保育事業や医療及び社会福祉事業等について詳細に説明した。
 また、Aでは、CO2の排出量取引(削減目標を設定し、その目標の超過達成分(排出枠)やクレジットの取引を活用した目標達成の仕組み、クレジットの創出・取引等)の国内統合市場の試行的実施について、地球温暖化対策推進本部の決定内容を紹介した。このことによって、自主行動計画への反映等を通じて京都議定書目標達成に貢献しようとするもの。
 そのほか、団体連合会の質保証の共同作業部会、私学教職員共済の年金給付制度(新三階年金)等について小出事務局長が説明し協議が行われた。

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