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平成20年11月 第2338号(11月12日)

学ぶ力を育成せよ ボランティア学習研究フォーラム開催

 日本ボランティア学習協会(興梠 寛代表理事)は、去る十一月一日・二日、島根県松江市の島根県民会館、松江市市民活動センターにおいて、第一一回全国ボランティア学習研究フォーラム島根大会を開催した。
 生きる力を育てる方法の一つがボランティア学習である。ボランティア活動者に、他人と協調する態度を育み、社会的課題の理解を深めさせ、自身の「力」を再認識させる。大学教育でも、サービスラーニングとして展開する大学が増加。このたびは、「学ぶ力」を育てる取組事例を紹介し、その可能性を考えた。
 フォーラムのはじめに、溝口善兵衛島根県知事や福島律子松江市教育長が挨拶に立ち、松江での開催を歓迎した。基調講演では、中央教育審議会副会長の梶田叡一兵庫教育大学長が登壇。
 梶田氏は、「昔は地域のために動いていた。それが個人主義になり、ボランティアと言わないと動かなくなった」と述べ、個人の利益ではなく人の役に立つ教育を行なう必要があると主張。最後に、「学習活動そのものがボランティア学習的であるべき」と締めくくった。
 休憩を挟んでのシンポジウムでは、コーディネーターに齊藤ゆか聖徳大学人文学部講師、シンポジストに高岡信也島根大学教育学部長、多田元樹千葉県教育庁南房総教育事務所指導室長、山田貴子子どもネットワークセンター天気村代表が壇上にあがった。
 まず、多田氏が、「教育計画に子どもの学びの視点を入れるべき」との考えを示すと、山田氏からは、「遊びなどの実践の中で自分の能力を知ることが必要だ」等と持論を展開した。
 高岡氏は、大学で実施している「一〇〇〇時間体験学習」を紹介。これは、教員としての資質能力向上をめざして、学生に合計一〇〇〇時間の体験活動を義務づける試み。大学では、山陰の教育機関と連携し、延べ約五〇〇名のボランティア派遣を実施した。高岡氏はこうした中でコミュニケーション力や問題解決力が身につくなどとした。
 フロアとの議論では、「ボランティアの学生は子どもの言う事に右往左往するが、最後に「ありがとう」と子どもから感謝されたときやりがいを感じている」など、学生がボランティア活動をする意義が確認された。
 シンポジウムの後には、アレックディクソン賞の受賞式が執り行われ、ボランティア学習推進部門に北海道標茶高等学校、ボランティア学習実践部門にはーと・ねっと・くらぶが選ばれた。翌日は朝から島根県、松江市の公民館、岐阜経済大学等の自由研究発表があり、その後は教員養成、サービスラーニング、生涯学習、企業の役割など五つの分科会に分かれて熱心な意見交換が行われた。

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