平成20年10月 第2334号(10月8日)
■教員のニーズ掴め
ファカルティディベロッパー 2日にわたりワークショップ
愛媛大学の教育・学生支援機構教育企画室と国立教育政策研究所は、去る九月十日、十一日、東京都内において、ファカルティ・ディベロッパー(FDer)入門講座を開催した。
FD担当者が抱える悩みに応えることが目的。二日間にわたるワークショップを通して、有効なFDプログラムの実施に必要な知識と技術を身につける。
日本のFDerの第一人者である佐藤浩章愛媛大学准教授がプログラムを進行。クリッカーを用いながらの双方向講義、その後は個人・グループワーク演習と発表、振り返り、というスケジュールで行われた。
「FD失敗の要因は、ニーズの把握不足です」。佐藤准教授は、FDプログラムの作成前に、学生と教員のニーズについて、その把握方法や手順を解説。ニーズを考慮しないプログラムは、参加者の減少や不満を招き、「教育改善は嫌なもの」という雰囲気をうんでしまうという。
ニーズの調査力に加え、会議の円滑な議事進行、心理学や組織論に精通するなど、FDerに求められる知識、技能や態度も多岐にわたり、佐藤准教授は、「プログラムの“批判”に耐えるストレス耐性はかなり重要」と付け加える。
プログラムの実施で重要なのは、目的と目標の明確化。特に目標は、@学習者が主語で、A評価ができるように具体化され、B一つの目標に一つの動詞が使われ、C学習者が理解できる言葉を用いる。この研修自体の目標も、「参加者が○○することができる」という形で表記されている。
佐藤准教授は、自らの体験を事例に交えて、研修当日の注意点や研修効果の測定等の解説を続けた。
ワークセッションでは、参加者たちは、FD実施要項、あるいは、FDプログラムの体系化マップを実際に作成した。作業時間が多く取られ、参加者一人ひとりが大学のプログラムをイメージしながら具体化させていった。
作業後、参加者同士で作成物が共有され、意見の交換を行なった。最後に修了証書が参加者に授与され閉会した。
FDerは、「FDを担当する専門スタッフ。集合研修の講師、個別教員に対する授業コンサルテーション、カリキュラム開発等の業務を行なう(審議のまとめ)」人材であり、今後我が国でも広く養成が求められる。