平成20年10月 第2334号(10月8日)
■教育課程の共同実施制 設置基準改正へ
去る九月二十五日開催の中教審大学分科会で塩谷立文部科学大臣が諮問した「大学設置基準等の改正について」に、十月六日、山崎正和中教審会長が適当と認める答申をした。国公私を通じ、複数の大学が相互に教育研究資源を活用し、共同で教育研究を実施する教育課程等の仕組みを構築することがねらいだ。主なポイントは次のとおり。
e実施組織=▽共同教育課程を編成する構成大学それぞれに学科等の実施組織(共同学科等)を設置
e教育課程=▽構成大学は、一の大学が開設する授業科目を、その他の大学の教育課程の一部とみなして、同一内容の教育課程(共同教育課程)を編成、▽いずれの大学も主要授業科目を必修科目として開講、▽大学は共同教育課程のみを実施することは不可(他に通常の学科等が存在していることが必要)
e卒業要件=▽学生はそれぞれの構成大学において当該共同教育課程の開設した授業科目の単位をそれぞれ一定数以上取得(例:学士課程の場合三一単位以上、修士・博士課程の場合一〇単位以上)
e学位=共同学科等の課程を修了した者に構成大学による連名の学位(共同学位)を授与
e各共同学科の教員=▽共同学科等の教員は、いずれかの構成大学に所属、▽各共同学科等ごとに必要な専任教員の数は、@(各共同学科等を一つの学部等とみなして)全体の収容定員に応じ算定される合計専任教員数を算定し、A合計専任教員数を各共同学科等ごとの収容定員の割合に応じて按分(大学別専任教員数)、Bただし、大学別専任教員数が分野ごとに現行の設置基準で考えられ得る最小の教員数(最小専任教員数)に満たないときは、専任教員の数を最小専任教員数とする。
e学生=▽事実上の所属大学を決定(※法的には共同学位を授与することから学生は全ての構成大学に重複在籍をするものと整理)
e校地・校舎=▽各共同学科ごとの校地・校舎面積は、@全体の収容定員に応じ算定される合計面積を、各共同学科ごとの収容定員の割合に応じて按分、Aただし、構成大学全体として十分な校地・校舎面積を有する場合であり、かつ、教育研究に支障のない場合には、各構成大学毎に前述の面積を要しない。
なお、平成二十一年には共同学科・学部等の認可申請等をし、平成二十二年四月から開設される予定。