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平成20年10月 第2333号(10月1日)

第588回理事会 21年度予算・税制改正要望など実現対策を協議
  文科省担当官が要望事項説明
  中教審諮問事項「大学教育の在り方」・質の保証への対応

日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る九月二十六日(金)、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で第五八八回理事会を開催し、平成二十一年度私立大学関係政府予算概算要求並びに私学関係税制改善対策について文部科学省の担当官による説明のほか、今後の推進方策、中央教育審議会の審議動向と大学改革問題等への対応、また、来たる十月二十四日(金)に大阪で開催する第一二九回総会の議事についてなど協議した。なお、新加入一大学が承認され、同協会の加盟校は三八四大学となる。協議の終了後には、文科省の河村潤子私学部長をはじめ幹部も多数出席して、情報交換会が開かれ、懇親を深めた。

 開会に当たり大沼会長は「政情が混沌としており、今後、新たな課題も起こってくると思う。中教審でも大学教育の在り方についての新たな議論も始まろうとしている。我々は、私学振興の道をはずれることなく、予算・税制改善の秋の陣・冬の陣へ向けてしっかり取り組んでいきたい」と挨拶した。
 議事の関係からはじめに「中教審の審議動向と大学改革問題等への対応等」について、小出秀文事務局長から解説が行われた。
 まず、去る九月十一日開催の中教審総会で鈴木恒夫前文科大臣から「中長期的な大学教育の在り方について」の諮問があり、(1)多様なニーズに対応する大学制度及びその教育の在り方、(2)グローバル化の進展の中での大学教育の在り方、(3)人口減少期における我が国の大学の全体像の三つの事項が示された。
 同諮問事項に関連して、二十五日開催の大学分科会では、諮問事項にかかわる「論点メモ」等も示されており、同協会では、今後、私立大学基本問題研究委員会で検討し、意見まとめ等をしていく。なお、大学分科会では、同諮問の審議に向けて「大学教育の検討に関する作業部会」を設置することになり、加えてワーキンググループとして「OECD高等教育における学習成果の評価(AHELO)に関するワーキンググループ」と「専門的人材の養成の在り方に関するワーキンググループ」を置くことなどが説明された。
 そのほか、大学における教育課程の共同実施制度(平成二十二年四月の共同学科・学部等の開設)について、さらに、先の「教育振興基本計画について〜『教育立国』の実現に向けて」(答申)において「特に重点的に取り組むべき事項」として掲げられた「質保証」に関連して、日本私立大学団体連合会として構成三団体の共同作業部会を設置して現在アンケートを実施中であり、その集計後には具体的な検討を進めていくことなども説明された。「質保証」に関連しては、「OECD高等教育における学習成果の評価(AHELO)」のフィージビリティ・スタディに我が国も参加予定であることから(渡海紀三朗元文科大臣が表明)、大学分科会制度・教育部会での検討を始めることになっている。さらに、「大学全入時代」の入試制度の在り方についても、質保証の観点から、「高大接続テスト(仮称)」などが教育再生懇談会等で議論されているが、同協会では、大学教務委員会や教育学術充実研究委員会等で対応していきたいと述べた。
 これら多岐にわたる大学改革問題への対応については、審議動向等を注視しつつ同協会の関連委員会等では協議するとともに、意見取りまとめや意見具申など適宜適切に行っていくとの方針が了承された。
 次に、来たる十月二十四日(金)に大阪市「帝国ホテル大阪」を会場に実施する同協会の第一二九回総会(秋季)の運営等については、小出局長から@平成十九年度同協会収支決算について(報告)、A二十一年度の予算・税制改善の経過報告と今後の実現対策について、B高等教育激動期の私大の振興・発展方策について(中教審等の審議動向等)などの協議のほか、議事終了後の懇親会等について同協会の関西支部(支部長=森田嘉一京都外国語大学理事長・総長)の協力の下で運営することが説明され、併せて森田支部長が懇親会及び翌日の見学研修(東大寺、正倉院等)などの概略を説明し、承認された。
 同協会への加入申請のあった植草学園大学については、満場一致で承認された。
 引き続いて、文科省の幹部が招かれて入室し、平成二十一年度私立大学関係政府予算概算要求並びに私学関係税制対策に関する経過報告を行った。
 (1)個人からの寄附金にかかる所得控除限度額の上限(現行四〇%)を五〇%まで拡大することなどの税制改正要望について村田善則私学行政課長が説明、(2)私立大学等経常費補助金三三一八億六八〇〇万円(対前年度予算七〇億円増)等の私立学校関係予算概算要求を白間竜一郎私学助成課長が説明、(3)国公私立大学を通じた大学教育改革の支援充実では、概略を義本博司大学振興課長が説明した後、@留学生三〇万人計画、奨学金事業の充実について下間康行学生支援課長が、また、A緊急医師確保対策における医学部定員増について新木一弘医学教育課長が説明、(4)科学研究費補助金の拡充について山口敏学術研究助成課長がそれぞれ詳細に説明した。
 これらの説明に対し、小出事務局長は「秋から冬の陣へかけて、文科省の皆さんとも連携して、要望を実現させるべくがんばりたい。公務多忙の中、駆けつけていただき感謝したい」と謝意を述べた。
 そのほか、議事では報告事項が説明されて終了した。
 引き続いて会場を移して開かれた情報交換会には、河村私学部長も駆けつけて挨拶し、理事会出席の幹部等とともに、役員との懇親を深めた。

私大協会加盟384校大学
 第五八八回理事会で加入が承認された大学は次のとおり。
 ▽学校法人植草学園が設置する植草学園大学(平成二十年四月一日開設)、理事長・評議員=植草 昭氏、学長=小出 進氏、発達教育学部発達支援教育学科=定員一四〇名、保健医療学部理学療法学科=定員四〇名。法人住所=〒260−8601千葉市中央区弁天二―八―九、TEL:〇四三―二五二―三五五一、大学住所=〒264−0007千葉市若葉区小倉町一九六三―三、TEL 〇四三―二三三―九〇三一。

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