Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成20年9月 第2332号(9月24日)

環境教育の充実に向け提言 大学等の積極的取組み促す

 日本学術会議(金澤一郎会長)の環境学委員会環境思想・環境教育分科会は、このほど、「学校教育を中心とした環境教育の充実に向けて」と題する提言を公表した。
 提言の背景は、近年の地球温暖化をはじめとする環境問題の深刻化に対し、七月には洞爺湖サミットでも本格的な環境対策が議論されるとともに、その根本的な解決策の一つとして、特に「環境教育」の重要性が認識されるようになった。
 ただし、これまで我が国の環境教育活動は、主に市民、NPO等によって進められてきたこともあり、幼少期から自然体験や農業体験の機会を持ち、バランスある環境教育を享受できていない。また、大学における環境教育の専門家養成も十分であるとは言えない。
 そこで、同提言では、学校教育における環境教育の意義を再認識し、その充実に向けて具体的方策の検討を促している。

 【提言の内容】
 現状を踏まえ、今後の我が国の環境教育に関するアクションプランとして、次の七項目を提言している。
 @全国すべての児童、生徒、学生に対して、学校教育は自然の驚異や環境の大切さ、景観の美しさを感じる心を養い、併せて人間と環境の適切な関係について学ぶことのできる機会を提供するべきである。
 A学校教育の中で教科横断的な領域として「環境教育」を位置づけ、環境学習のための単元づくりや各教科との連携を企画・構想できるコーディネーターとしての環境教育専任教員を配置するべきである。
 Bすべての教員養成課程受講者に対して環境教育(自然体験を含む)を義務付けるべきである。
 Cこれからの教職大学院や現場教員の免許更新においても、環境教育関連の履修コースを増強し、必修とするべきである。
 Dわが国のすべての大学・大学院は「環境」に関する広汎な教育研究に、専攻分野の違いを越えて取り組むべきであり、その成果は学生に対する一般的な「環境教育」として、また教員養成課程にあたっては、「環境教育」担当能力の育成を通じて社会化するべきである。
 E大学には環境を幅広く捉え、全般的に研究・教育する各分野の専門研究者を配置することとし、すべての学生が環境に関する基礎知識を得るよう、教養教育を充実させるとともに、大学の地域に対する貢献活動を推進させるべきである。
 F児童、生徒、学生、成人各々にふさわしく有効な環境体験の多様な場所・施設・環境を全国各地に確保するべきである。
【提言に関する問い合わせは、日本学術会議事務局参事官(審議第二担当)、TEL 〇三―三四〇三―一〇五六まで】

Page Top