平成20年9月 第2329号(9月3日)
■文科省が予算概算要求提出 教育振興基本計画の着実な実施へ
私大等経常費補助3318.7億円(対前年度予算70億円増)
文部科学省は八月二十九日、平成二十一年度予算の概算要求を財務省に提出した。一般会計は五兆九四七二億三三〇〇万円で、前年度予算に比べて六七三三億六四〇〇万円の増額(一二・八%増)となっている。このうち、私学助成関係では、私立大学等経常費補助金が三三一八億六八〇〇万円(対前年度七〇億円増)などとなっており、合計で四六九九億五六〇〇万円(同一九八億二〇〇〇万円増)となった。また、国公私立大学を通じた大学教育改革の支援については、一一三五億円(同四五五億円増)となっている。なお、平成二十一年度文部科学省税制改正要望案(別掲)も提出している。予算要望の主要事項の概要は次のとおり。(初等中等教育局、生涯学習局の主要事項の予算要望の概要は2面に掲載)
未来を切り拓く教育の振興
一、初等中等教育の充実(カッコ内は前年度予算額との増減、▲は減)
(1)新学習指導要領の円滑な実施=授業時数増等への対応など五三六億八五〇〇万円(四五八億四〇〇万円)
(2)豊かな心と健やかな体の育成=幼児教育の推進など四四四億二三〇〇万円(一一九億五三〇〇万円)
(3)教員が子ども一人一人に向き合う環境づくり=教員の子どもと向き合う環境づくりなど一兆六九四九億二八〇〇万円(五七億八九〇〇万円)
(4)学校耐震化等の安全・安心な施設環境の構築=一万棟(Is値〇・三未満)の耐震化の加速、Is値〇・三以上の施設の耐震化、学校統合やエコスクールの整備など一八〇一億円(七五〇億一七〇〇万円)
二、社会全体での教育向上への取組み
(1)家庭の教育力の向上一九億九五〇〇万円(五億一〇〇〇万円)
(2)社会全体の教育力の向上一三二億八八〇〇万円(四億八二〇〇万円)
(3)いつでもどこでも学べる環境の整備九一億四八〇〇万円(新規)
(4)青少年の健全育成の推進=青少年の意欲を高める体験活動の推進、青少年を取り巻く有害環境対策の推進、子どもの読書活動の推進など一五億二九〇〇万円(一〇億二三〇〇万円)
三、大学教育の充実と教育の質保証
(1)大学教育の充実と大学の機能別分化=@学士力の確保など主体的な教育の質保証の取組への支援一七五億五一〇〇万円(五九億六九〇〇万円)、A大学院の組織的な教育活動の推進九〇億二四〇〇万円(三九億五四〇〇万円)、B国公私立大学を通じた大学教育改革支援の充実と世界最高水準の卓越した教育研究拠点形成六一九億九八〇〇万円(五二億四四〇〇万円)。C国立大学等における教育研究の充実と活性化一兆一八六九億五一〇〇万円(五六億一八〇〇万円)、D高等専門学校の改革・充実六七九億六一〇〇万円(三億二〇〇万円)、E「第二次国立大学等施設緊急整備五か年計画」の推進〔他に財政融資資金(財投機関債含)〕一〇四六億一八〇〇万円(五四二億五四〇〇万円〔五九五億円(▲七九億円)〕)
(2)「留学生三〇万人計画」と大学の国際化=@大学の国際化の推進一五〇億円(新規)、A留学生の受入れ環境・就職支援の充実四五四億八五〇〇万円(六三億九七〇〇万円)、B海外での情報提供及び支援の一体的な実施二四億九五〇〇万円(五五〇〇万円)、C日本人学生の海外留学の推進一七億四三〇〇万円(一一億八八〇〇万円)
(3)医学教育を通じた医師不足対策=@医師養成数の増加に伴う教育環境整備への支援七〇億円(新規)、A地域医療に貢献する医療人の養成と大学への支援一一四億七九〇〇万円(新規)、B大学病院の医師等の養成機能を強化するための方策の充実七八億六〇〇〇万円(三六億五〇〇万円)
四、多様な人材を育む私学の支援(別掲参照)
五、学生が安心して学べる環境の実現
(1)教育費負担軽減のための(独)日本学生支援機構奨学金事業の充実と健全性確保〔他に財政融資資金〈財投機関債含〉〕一四二七億二六〇〇万円(一一三億一七〇〇万円)〔七三七二億円(一六六一億円)〕
(2)大学による学生支援の取組の推進三五億四一〇〇万円(一九億二一〇〇万円)
六、国際教育交流・協力の推進
(1)外国人の生活環境適応加速プログラム六億三八〇〇万円(二億一九〇〇万円)
(2)国際的な教育連携事業の推進九億五九〇〇万円(五億一一〇〇万円)
文化芸術・スポーツの振興
一、活力ある社会を支えるスポーツの振興
(1)競技力向上戦略及び地域のスポーツ環境整備の推進三〇二億五〇〇万円(一一二億五〇〇万円)
二、「文化芸術立国」の実現と文化発信
(1)文化芸術創造プランの推進一八〇億六三〇〇万円(二九億八五〇〇万円)=舞台芸術公演・伝統芸能等への重点支援など。
(2)文化財の次世代への継承四一六億六三〇〇万円(四一億六五〇〇万円)
(3)日本文化の戦略的発信五二四億六一〇〇万円(九一億九三〇〇万円)
成長力の強化
一、人材育成・確保のための投資の拡充〈以下の事項は、複数の目的をもつ事業についての重複計上を含む〉
(1)次世代を担う若者への理数教育の充実一四九億六二〇〇万円(六〇億八七〇〇万円)
(2)大学における人材育成機能の強化と産学が協働した人材育成七三五億六四〇〇万円(▲一〇〇〇万円)
(3)イノベーション創出の担い手となる若手・女性研究者等への支援の強化九七九億二一〇〇万円(一一九億六〇〇万円)
(4)科学技術に関する理解と意識の醸成一一一億一五〇〇万円(二三億一〇〇万円)
二、多様な技術シーズを生み出す基礎研究の充実と国際競争力の強化
(1)学術研究の振興=@大学・大学共同利用機関等における独創的・先端的基礎研究の推進一三二〇億二四〇〇万円(一三三億四七〇〇万円)〔再掲〕、A科学研究費補助金の拡充二一七一億七六〇〇万円(二三九億七六〇〇万円)、B人文・社会科学の振興一二億六〇〇〇万円(六億五九〇〇万円)
(2)競争的資金の拡充等による研究開発の推進及び加速四四八八億四〇〇〇万円(六九五億九一〇〇万円)〔再掲〕
(3)産学官連携などによるイノベーションを生み出すシステムの強化=@基礎研究からの技術シーズの創出五七七億六三〇〇万円(八九億三三〇〇万円)、A産学官連携の戦略的な展開と地域イノベーションの創出五六六億一九〇〇万円(一一六億二八〇〇万円)、B科学技術振興調整費によるシステム改革の先導等四八六億六〇〇〇万円(一四八億六〇〇〇万円)、C世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラムの着実な推進七一億九〇〇万円(同額)
(4)科学技術振興のための基盤の強化三四八億九〇〇万円(九八億一九〇〇万円)
(5)科学技術の国際活動の戦略的推進=@ODAとの連携等による地球規模の課題の解決に向けた国際科学技術協力の強化一三億四八〇〇万円(八億四八〇〇万円)、A我が国の先端的な科学技術を活用した国際共同研究等の戦略的推進三〇億八二〇〇万円(一八億三二〇〇万円)、B科学技術外交等の国際活動を推進する基盤の整備一六〇億四六〇〇万円(一一億九一〇〇万円)
三、国家基幹技術など分野別研究開発の強化〈以下の事項は、複数の目的をもつ事業についての重複計上を含む〉
(1)国家基幹技術やiPS細胞研究など重点分野への集中投資=@ライフサイエンス八六一億七〇〇万円(一五二億一一〇〇万円)、A情報通信六一二億四〇〇〇万円(一五五億九九〇〇万円)、B環境九一七億三〇〇〇万円(一四七億八二〇〇万円)、Cナノテクノロジー・材料四二六億六一〇〇万円(六五億二一〇〇万円)、D原子力二七五三億二八〇〇万円(一三九億五〇〇万円)、E宇宙・航空二四三九億一五〇〇万円(五六二億四一〇〇万円)、F南極観測・海洋地球科学技術六四四億三〇〇万円(一〇五億八六〇〇万円)、G地震・防災三七四億五九〇〇万円(一二八億三二〇〇万円)、Hものづくり技術八三億五二〇〇万円(一七億五七〇〇万円)、I新興・融合分野四一二億五二〇〇万円(七六億一五〇〇万円)、J安全・安心分野四〇一億七二〇〇万円(一二九億四三〇〇万円)