平成20年8月 第2326号(8月6日)
■京都祇園祭など14件 文化庁が候補提案 ユネスコ無形文化遺産
文化庁はこのほど、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産の代表一覧リストに提案する候補を発表した。アイヌ古式舞踊や京都の祇園祭など、国内の祭りや芸能、工芸技術十四件。各国からの提案をもとに来年九月、正式に記載が決定される。
ユネスコ無形文化遺産は、人類共通の遺産として保護すべき祭りや伝統芸能、口承文化などを一覧表に記載する。〇三年にユネスコで「無形文化遺産の保護に関する条約」が採択された。〇六年に発効、現在は九七カ国が締約している。
緊急に保護が必要な「危機遺産」以外への財政支援はなく、世界的に一層、認知されるのが目的。審査は書類審査のみで、無形文化遺産としての特殊性があり、適切な保護措置がとられていることが条件となっている。
建造物など有形の世界遺産と異なり、専門機関による現地調査はない。基本的には各国政府の提案がそのまま通るとみられる。
文化庁は今回、重要無形文化財、重要無形民俗文化財、選定保存技術に指定・選定されている三〇〇件(人間国宝など個人は除く)の中から、分野や地域のバランスを考慮して指定時期の早いものから順に選んだ。
アイヌ古式舞踊は、今年六月の「アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議」を考慮して別枠とした。重要無形民俗文化財に指定されたのは八十四年だが、優先的に第一回候補に入れた。
今後は各国の動向をみながら、重要無形文化財、重要無形民俗文化財、選定保存技術に指定・選定されている三〇〇件すべての登録を目指す。
今回の一四件とは別に、ユネスコがすでに「口承及び無形遺産の傑作」としている能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎は、来年九月、無形文化遺産に統合される。
分野別のユネスコ無形文化遺産の候補一四件は次の通り。
【重要無形文化財】雅楽(宮内庁式部職楽部)
▽小千谷縮・越後上布(染織、新潟県)
▽石州半紙(せきしゅうばんし)(手すき和紙、島根県)
【重要無形民俗文化財】アイヌ古式舞踊(北海道)
▽早池峰(はやちね)神楽(岩手県)
▽秋保(あきう)の田植踊(田楽、仙台市)
▽大日堂舞楽(秋田県)▽日立風流物(ふりゅうもの)(祭礼、茨城県)
▽チャッキラコ(小正月の踊り、神奈川県)
▽京都祇園祭の山鉾(やまほこ)行事(京都市)
▽題目立(だいもくたて)(秋祭りの語り物芸、奈良市)
▽奥能登のあえのこと(農耕儀礼、石川県)
▽甑島(こしきじま)のトシドン(大みそかの行事、鹿児島県)
【選定保存技術】木造彫刻修理(美術院)