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平成20年8月 第2326号(8月6日)

市民によるまちづくりの触媒に コミュニティ・シンクタンク設立

 愛知県岡崎市は、多くの市民活動が活発に行われ、豊かなまちである。
 人間環境大学(小川 侃学長)の島崎義治教授(住環境デザイン論)は去る四月、コミュニティシンクタンク「moco」を設立した。岡崎市の市民活動を行政や社会と直結させ、市民を行政や社会と真に、有機的につなぐため、市民や市民活動団体の交流と支援を行うことが目的。こうした経緯から、mocoは触媒的中間支援組織「中間性媒体」と位置づけられた。
 “最大公約数としての市民”でもなく、“地方という画一的視点”でまちを俯瞰するのでもない。一人ひとりの市民の視点から地域の多様な課題を探求し、自らその解決に向けた提言を行う。岡崎からコミュニティを考え、社会の課題を地域から発信するコミュニティシンクタンクである。
 月二回の“ギャザリング”を基盤に活動を開始。 ギャザリングとは、自らの課題を語り合うことで、課題解決や自己実現に向けて、共有する方向性や具体的な方策を見つける「場」であり、また市民の生きた情報が溢れるまちづくりの現場でもある。ある人はそこに夢や思いを実現する場を求め、またある人は自らの活動の課題を持ち込み、それを解決して自らの活動の現場へ戻っていく。
 同じ志を持った市民の中で、中核部分を担う同人が運営を行う。人と人のつながりからネットワークをつくり、ベンチャー性を持った独自の活動を行っている。緩やかな集まりの中で、多様な価値を発信する「場」としての広がりそのものがmocoの機能であり、形態だ。
 同大の学生も五人かかわっている。彼ら「学生隊」は市民活動でのつながりの中で、生きた情報を学び、自ら多くの発見をしてゆくために参加し、市民もまた彼らの新鮮な発想や行動力に期待を寄せている。
 様々な切り口から語り合い、共有課題が具体化し始めたこと、生きた本当の姿から町のあり方を社会へ発信することの可能性が予感できたことが現時点での成果と言える。
 障がいを持つ人たちも多く参加するギャザリングではこれまで、次のキーワードが共有されている。
 全てにかかわる「心のバリアフリー」、「ノーマライゼーション」、「シェアードハウス」から「シェアードコミュニティ」、「多極的なコンパクトシティ」、「矢印の改革(様々なまちの資源フローを再構築)」、「生きている図書館」など。バリアフリーやノーマライゼーションはmocoの根本理念として受け入れられ、また、「生きている図書館」は、生きた情報を集積し、その真実の姿を社会へ発信する様がコミュニティシンクタンクそのものと感じられている。
 今後は、ギャザリングで明確となった地域の課題や活動の方向性を、シンポジウムや研究会で検討を重ね、企画や構想、提言として発信してゆく予定。「moco」http://www.mocomoco.ws

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