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平成20年8月 第2326号(8月6日)

第587回理事会 予算・税制改正要望など実現対策を協議
  コ永高等教育局長・磯田研究振興局長らと懇親会
  「科学技術創造立国」を船田衆院議員が講演

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る七月二十五日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で、第五八七回理事会を開き、自民党政務調査会科学技術創造立国推進調査会長の船田 元(はじめ)衆議院議員による「科学技術創造立国に向けて」と題する講演を聞くとともに、平成二十一年度私立大学関係政府予算要求並びに私学関係税制改善対策の今後の推進方策、中央教育審議会等の審議動向と大学改革への対応等について協議した。また、理事会終了後には、この度の文部科学省の人事異動で就任した私学関係の幹部を招いての懇親夕食会も開かれた。なお、新加入校として北陸学院大学が承認され、同協会の加盟校は三八三大学となった。

 大沼会長の開会の挨拶の後、さっそく船田衆院議員(作新学院大学理事長)の講演に移った。
 同氏は冒頭に、平成二十一年度予算のシーリング(概算要求基準)の成り行きに言及し、「日本の教育の大宗を担う私学の補助金を対前年度比“▲一%”どころか、さらに“▲二%”との話もあり、これでは私学は立ちいかない」などと述べ、たとえ、厳しいシーリングになろうとも自民党の文部科学部会や文教制度調査会とも歩調を合わせ、年末の予算協議に向けて局面の打開を図っていきたいと力を込めた。
 本題の「科学技術創造立国に向けて」の講演では、まず、『我が国の研究開発を巡る状況』として、@主要国の経済成長等及びIT技術の進展下における我が国の低迷、A主要国の研究開発システム改革(米国:競争力強化法、英国:イノベーション・大学・技能省の設立、中国:科学技術進歩法の改正など)、B主要国の政府負担研究開発費の推移等を挙げた。
 次に、『我が国の研究開発の現状』として、@若手研究者の減少傾向など多様な研究人材の活用状況、A海外で活躍する日本人研究者の減少や大学院レベルの海外留学の低迷など国際的な頭脳循環からの疎外感を指摘した。
 さらに、『研究開発力の強化に向けた取組』として今年六月に成立した研究開発力強化法の概要について解説し、政府の革新的技術戦略としての健康な社会の構築、日本と世界の安全保障や創薬技術などについて概要を解説した。
 最後に、『研究成果の社会還元促進に向けて』として、@地域科学技術クラスター、A文科省・厚労省・経産省が一体となっての健康推進会議(仮称)を設置し、国として一体的に取り組んでいくことなど、今後の検討課題を挙げて講演を締めくくった。
 講演の後、協議事項に移り、はじめに、小出秀文事務局長が「平成二十一年度大学関係政府予算要求」について、日本私立大学団体連合会で取りまとめた要望案を説明した。
 そのポイントは、高等教育に対する公的投資を国際水準の対GDP比一%への拡充、私立大学と国立大学に対する公的支援の根本的な格差是正、「基本方針二〇〇六」による私学助成の“▲一%”の方針撤廃、私立大学と国公立大学との連携等である。
 その上で、重点要望事項として、@私学助成の大幅な拡充(質保証、地域活性化に資する教育研究、耐震整備事業等への支援など)、A国公私立大学を通じた教育改革支援の充実(地域振興の核となる大学の構築、文化芸術・スポーツ活動等の人材育成への支援など)、B教育費負担軽減のための奨学金事業の拡充、そのほか、「留学生三〇万人計画」に向けた私費外国人留学生への支援の拡充や認証評価機関の基盤整備への支援、環境問題の取組に対する支援の拡充などの要望内容を説明した。
 また、教育予算の圧縮に対しては、大学団体全体として財務省の思惑に強い反発の声が上がっており、概算要求提出まで要望実現めざして要請活動等を展開していくことが提案され、原案通り承認された。
 引き続き、「私立大学関係税制改正に関する要望」については、「個人から学校法人に対する寄附金に係る所得控除限度額の上限(現行四〇%)を五〇%まで拡大すること。併せて、所得控除限度額の上限を超えた場合に、五年間を限度に繰り越して控除すること」との要望等のほか、教育費にかかる経済的負担軽減のための措置の創設、現行特例措置の維持・拡充などを要望しており、消費税問題についても、周辺情勢等を注視して対応していく。
 協議の後、これらの要望案は原案通り承認された。
 引き続き、中央教育審議会の審議動行に係る、学士課程教育の構築に伴っての「質の保証」については、私大団連の「質保証の作業部会」で協議することになっており、『各大学が建学の精神の下でそれぞれに目標を定め、質を考えていくものであり、画一的な質の保証を定めるものではない』との立場から検討を進めていくとの説明があり、了承された。
 また、「留学生三〇万人計画」に関しては、私立大学の協力なしに達成できるはずもなく、その意味で今後とも予算措置等を要望していくことになった。
 協議の最後に、同協会の第一二九回総会(秋季)の開催に当たって、承認事項・協議事項が了承された。また、次回の理事会は九月二十六日(金)(八月は休会)となった。
 報告事項では、日本私立学校振興・共済事業団「共済審査会委員」の任期満了に伴い、会長一任とされていた後任候補者に渡部 茂大東文化大学学長を推薦すること、また、日本体育大学からの同協会評議員登録変えに伴い、上平雅史前理事長から塔尾武夫新理事長に交替したこと(理事の欠員が生じている)などが報告された。

河村私学部長が挨拶
 理事会終了時には、新たに就任した河村潤子私学部長が駆けつけて挨拶した。
 また、理事会終了後の懇親夕食会には、多忙な公務の中、コ永 保高等教育局長をはじめ、磯田文雄研究振興局長、河村私学部長、村田善則私学行政課長、片山純一高等教育企画課長、白間竜一郎私学助成課長、下間康行学生支援課長、戸松幹孝私学行政課私学共済室長、豊岡宏規私学部参事官らが出席し、理事会役員との名刺交換等、懇親を深めた。

私大協会校383に
 理事会で加入が承認された大学は次のとおり。
 ▽(学)北陸学院が設置する北陸学院大学(平成二十年四月一日開設)、理事長・評議員=楠本史郎氏、学長=三浦 正氏。人間総合学部幼児児童教育学科=定員一〇〇名、社会福祉学科=定員八〇名。法人・大学住所=〒840-1396石川県金沢市三小牛町イ11、電話〇七六―二八〇―三八五〇

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