平成20年7月 第2322号（7月2日）
■第586回理事会 予算・税制に関わる骨太方針基本計画の動向注視
文科省・磯田私学部長が説明
21年度予算の焦点"概算要求基準（シーリング）"へ
日本私立大学協会（大沼 淳会長）は、去る六月二十七日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において第五八六回理事会を開催し、平成十九年度同協会の収支決算を承認するとともに、平成二十一年度の私立大学関係政府予算要求並びに私学関係税制改善対策の今後の推進方策、中央教育審議会等の審議動向と大学改革問題等への対応について協議した。なお、予算等に関連して、政府の骨太方針二〇〇八及び教育振興基本計画の閣議決定へ向けた動向等について、文部科学省の磯田文雄私学部長が説明した。
開会に当り、大沼会長は「経済財政諮問会議で取りまとめる骨太の方針が今日閣議決定されるが、恐らく従来通りの厳しいものとなるだろう。一方、教育振興基本計画の方も、今後一〇年間を見通しての教育投資の数値目標等の書き込みがどうなるのか、予断を許さない状況である。なお、本日は平成十九年度の収支決算のご承認をいただくこともあり、よろしくお願いしたい」と挨拶した。
議事に先立って、小出秀文事務局長より、初めて出席の新任の理事として、沖縄国際大学の富川盛武理事長、また、新任の監事として椙山女学園大学の椙山正弘理事長の二人が紹介された。
承認事項では、平成十九年度同協会の収支決算が企画財務委員会の廣川利男担当理事（東京電機大学学園長）から説明され、塚本邦彦監事（大阪芸術大学理事長・学長）から監査報告が行われた後、全会一致で承認された。同収支決算は秋の全国総会に諮ることとなる。
協議事項に入り、招かれて出席した文科省の磯田私学部長が、予算・税制改善対策等に関連して、経済財政諮問会議の「基本方針二〇〇八」及び「教育振興基本計画」の閣議決定へ向けての財務省等との折衝等について説明した。
磯田私学部長は「『基本方針二〇〇八』は、教育基本法の理念の実現に向けて策定される教育振興基本計画を念頭に置いて記述される。自民党の文教関係議員の強い反論等はあるものの、私学助成や国大運営費交付金などの基盤的経費の拡充等、「▲一％」を否定するような内容は盛り込まれていない」と述べた。その上で高等教育については、同案の段階で示されたように「高等教育の教育・研究の強化、競争的資金の拡充など、新たな時代に対応した教育上の諸施策に取り組む」と記述されると説明。さらに、平成二十一年度の予算の方向については、“対前年度▲一％”を規定した「基本方針二〇〇六」が引きつがれるとしながらも、「道路特定財源や消費税など、税制問題の展開によって不透明な部分もある」などと述べた。
なお、今後の対応のポイントについては、教育振興基本計画の閣議決定、二十一年度予算概算要求のシーリング、補正予算などを挙げ、全力で取り組みたいと語った。
そのほか、地震防災対策特別措置法改正法案の要旨についても解説した。
理事からは「家計負担軽減のための施策を」「私立学校の施設等は万が一、解散となれば自治体等に供されるものであり、その意味で公共財であり、耐震の整備が必要だ」といった意見も出された。
次に、同協会への西九州大学の新加入の協議が行われ、満場一致で承認した。
引き続き任期満了に伴う人事案件について、①全私学連合への平成二十年度私学予算委員会委員に大沼会長のほか一〇名の副会長、福井直敬氏、小林素文氏の両常務理事の合計一三名が推薦・承認された。②日本私立学校振興・共済事業団「共済審査会委員」の候補者の推薦は会長一任に、また、(財)私学研修福祉会理事及び監査並びに評議員の候補者の推薦については、各支部長と相談の上で会長に一任することになった。
報告事項では、日本私立大学団体連合会の「質保証の共同作業部会」設置に伴う同協会からの委員として、黒田壽二金沢工業大学学園長・総長、佐藤東洋士桜美林大学理事長・学長、古矢鉄矢北里大学事務副本部長・学長室長の三名を派遣することが報告されたほか、同協会の各支部・連絡協議会の春季総会等が報告され、理事会は終了した。
私大協会校に
理事会で加入が承認された大学は次のとおり。
▽(学)永原学園が設置する西九州大学（昭和四十三年四月一日開設）、理事長・学長・評議員＝福元裕二氏。健康福祉学部健康栄養学科＝定員一三〇名、社会福祉学科＝定員一四〇名・三年次編入学二〇名、リハビリテーション学部リハビリテーション学科＝定員八〇名。法人住所＝〒840－0806佐賀市神園三－一八－一五、TEL:〇九五二－三一－六八〇六、大学住所＝〒842－8585神埼市神埼町尾崎四四九〇－九、TEL:〇九五二－五二－四一九一〈五月二十六日より加入〉
