平成20年6月 第2321号(6月25日)
■近大の無人ヘリ飛ぶ 防災防犯展でデモ 実用化へ向け開発進化
近畿大学(畑 博行学長)は、六月十九、二十日、インテックス大阪(大阪市住之江区)で開かれた「地域防災防犯展 大阪」で「レーザー・エネルギー伝送 無人電動小型ヘリコプター」を出展し、デモを披露した。
レーザー駆動・無人ヘリは同大リエゾンセンター副所長の河島信樹教授が開発。遠隔操作する小型無人ヘリコプターに搭載した高性能太陽電池に、地上から自動追尾でレーザー光を照射して発電させ、駆動エネルギーを確保する。
燃料やバッテリーに頼らず、時間無制限で飛び続け、搭載したカメラからリアルタイムで地上の映像を送ることができる。
三六〇度の方向転換や空中静止が可能なヘリコプターの飛行特性を活かし、建物や遮蔽物に隠れた負傷者を上空から発見するなど、災害現場での状況把握をはじめ、さまざまな用途での実用化が期待されている。
レーザー・エネルギー伝送によるヘリコプターの研究開発は現在、世界で近大だけが進めている。今回の展示では、実際にレーザーを照射してプロペラを回転させるデモを行った。
また、今年三月、グリーンアリーナ神戸で行った飛行実験の様子を大型スクリーンで上映。災害現場で、どのような活躍ができるか、河島教授が説明した。
河島教授は「グリーンアリーナ神戸での実験で技術的にレーザーでエネルギーを伝送してヘリコプターを安定に長時間飛翔できることを示しました。これから所期の目的の自然災害における偵察飛行や緊急の通信のリレー基地に実際に活用されるためには、@搭載重量を二〇〇t位に大きくして高性能のTVカメラや通信機器を搭載できるようにすること、A実際に屋外での風雨に耐える試験をして、秒速五r以上の風や小雨の状態でも使用できるようにすることです。今後、実用化へ向けてさらに開発を進めます」と話している。