平成20年6月 第2321号(6月25日)
■高専を取り巻く諸課題を討議 総会開く
日本私立高等専門学校協会(会長=神野 稔近畿大学工業高等専門学校長)は、去る六月十七日、東京・市ヶ谷の日本私立大学協会会員室において第八九回春季総会を開催した。
開会に当たり、神野会長は、「高専制度は、産業界の要請に応じ、昭和三十七年に日本の工業発展を支える中堅技術者の養成を目指して創設され、その進路の多くは就職であったが、近年では大学への編入学や専攻科への入学などが四〇%を占めるに至り、高専で育成する技術者像も社会環境の変化の中で変貌してきている。中教審大学分科会高等専門学校特別委員会でも産業界からは高専卒業生が創造的・実践的技術者として優れているとの評価を得ているが、学位を取得するには認定審査が必須、待遇面などからも社会的地位は高いとは言えず、力強い改善提案と対策活動が必要。一八歳人口減少の中で、私立高専の存続・発展の契機となる総会としたい」と挨拶した。
議事に入り、小出秀文事務局長より、平成二十年度事業計画案及び予算案が提案され、協議の結果、原案どおり承認され決定した。
人事案件では、同協会の理事に小島知博サレジオ高専校長の就任が決定した。
続いて、「高専を取り巻く諸問題と高専教育を巡る諸課題」について文部科学省の坂口昭一郎企画官より解説が行われた。
同氏は、最初に中教審大学分科会高等専門学校特別委員会で検討されている「高等専門学校教育の充実について」の内容について解説した。
次に、平成十九年度から開始した「ものづくり技術者育成支援事業」は、引き続き「産学連携による実践型人材育成事業―ものづくり技術者養成―」として新規公募を行うことになったので高専からの申請を期待している」と述べた。
意見交換に移り、専修学校の一条校化、専門学校の再編、留学生受入れ、インターンシップ実施に対応する中小企業側の課題などについての活発な質疑・応答が行われた。留学生受入れについては、国が留学生三〇万人計画を推進しようとしている中で、高専の三年次編入の場合は就学生扱いで補助金が措置されていないばかりか、準備教育の取扱い、受入れ後の対応などに課題が山積していることが明らかにされた。
同協会としては、これらの議論を踏まえ、平成二十一年度政府予算編成に当たり、大学団体、短期大学団体とも連携して、私費留学生支援の充実も含め、留学生三〇万人受入れ政策に向けた改善要望を行うこととした。