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平成20年6月 第2319号 (6月11日)

基礎研究は成果不十分? 科学技術システムの状況変化まとめる

 科学技術政策研究所では、このたび、一昨年度の第一回に引き続き、日本の代表的研究者・有識者に日本の科学技術システムの状況を問う「意識定点調査」を行い、日本の科学技術システムの状況変化についてまとめた。

 まず、研究費や施設整備等日本の科学技術研究の基盤は、同報告によると、総じて評価は低い。大学の研究施設や設備については、第一回調査(前回)に続き不充分との評価であった。また、若手研究者や女性研究者、外国人研究者が活躍できる環境づくりにおいては、前回から比較すると一部改善はしたものの、絶対値では充分ではない。
 基礎研究については、前回に引き続き多くの回答者が、「政策課題対応型研究開発の重点化が、自由発想型研究の本来のあり方に歪みをもたらしている」と考え、現在の資金配分方法では、イノベーションの源としての基礎研究の多様性は必ずしも確保できてないと評価している。自由発想型研究の成果を次の段階へ繋ごうとする研究者の活動は必ずしも活発ではなく、また、我が国の研究成果は充分にイノベーションに繋がっていない。これは、研究の各段階を繋ぐ研究費制度の仕組みの整備が不十分と考えられる。
 逆に、競争的資金は、研究費配分のルール作り、研究機関の責任の明確化、問い合わせへの迅速対応など、競争的資金配分機関の取組は悪くない状況であるとの評価であった。
 産学官連携については、前回同様、大学の教育・研究に「良い効果」をもたらしている。特に教育効果の評価が上昇した。一方、日本の大学は米国に比べ、技術課題の解決能力や成果の取扱いを含む契約の実務能力が不充分である。また、民間企業が抱えている技術的課題の大学等への情報発信はあまり充分ではないとの評価であった。

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