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平成20年6月 第2318号 (6月4日)

「平泉」は登録延期
  ユネスコ世界遺産 7月に巻き返し狙う

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス・本部パリ)はこのほど、世界遺産登録を目指す「平泉の文化遺産」について、価値が十分に立証されていないとして「登録延期」を勧告した。
 岩手県、文化庁などは、昨年登録延期の勧告を受けながら逆転登録を果たした「石見銀山遺跡」(島根県)を教訓にして巻き返しをねらう。正式な登録の可否は、七月に開かれる世界遺産委員会で決まる。
 イコモスは、昨年八月に実施した現地調査の報告と、ワーキンググループによる推薦書の審査をまとめた評価報告書をユネスコ世界遺産センターに提出。その通知を受け、文化庁と岩手県が評価内容を発表した。
 イコモスの勧告は▽登録▽情報照会▽登録延期▽不登録―の四つ。平泉の評価は昨年の「石見銀山遺跡」と同じ「登録延期」で、より綿密な調査や推薦書の本質的な改定を求めるものになっている。
 平泉は昨年十二月、イコモスから「構成資産と浄土思想の関連が分かりにくい」として追加説明の要請を受けていた。
 世界遺産委員会でも「登録延期」が決議された場合は、推薦書を再提出し、再度イコモスの審査を受ける必要があり、再審査は早くても二年後になる。
 平泉の文化遺産は二〇〇一年、世界遺産暫定リストに登載。〇六年、「平泉―浄土思想を基調とする文化的景観」の名称で日本政府がユネスコ世界遺産センターに推薦書を提出していた
 登録延期を受けて、岩手県と文化庁は石見銀山遺跡など登録延期勧告から「逆転登録」を実現したケースもあり、問題点を分析して登録をめざす。
 法貴 敬・岩手県教育長は「率直に残念だ。我々としては完璧に理解を得られるような情報を提供してきた。浄土思想は仏教圏の中の考え。どの程度証明していけばいいのか、かなり苦労がある。七月の世界遺産委員会に向け、文化庁や地元市町と十分協議して全力を尽くしたい」と語った。

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