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平成20年5月 第2317号 (5月28日)

[新刊紹介]
 実務者のための私学経営入門  石渡朝男 著

 私立大学再生の“仕事人”では早稲田大学の財政を立ち直らせた元早大常任理事の關昭太郎氏が高名だが、まだ他にも逸材がいた。
 その、もう一人の大学再建人が書いた本。説得力があるのは言うまでもない。著者の勤めた芝浦工大の石川洋美・名誉理事長が推薦文を寄せている。
 〈彼は勉強と研究を積み上げ「体験的専門家」になった。この書を説くに日本で一番適切な人である。体験に裏打ちされた石渡の話を聞こう!〉
 九章からなる。一章の「私学の役割・特性と法的基盤」、三章の「私学経営戦略手法の導入」、九章の「経営基盤強化のための財務戦略の展開」―は“体験に裏打ちされた”だけにずっしり重い。
 大学を取り巻く状況の厳しさは行間からひしひしと伝わる。そんな時代をわしづかみにした提言も多い。
 二章の「私学が果たすべき社会的責任」では〈今後は、ステークホルダーの期待に応え、説明責任を果たさなければいけない〉と一歩踏み出す。
 さらに、六章の〈ブランド力を身につけ差別化を図っていくのが今後の私学が取るべき最大の戦略〉、九章の〈わが国の大学も学費依存から外部資金導入の施策を請じなければならない〉の言説は清新で重厚。
 「おわりに」で〈私学にとって、これからの数年間が生き残りのための正念場〉だとして、私学生き残りの三つのポイントを挙げる。
 いずれも正鵠を射ているが、最後の〈職員の力量により学校の評価が決まる時代が到来した〉というくだりが、一番言いたかったのではないか。

 定価2,900円(本体2,762円)
 発行(株)法友社
 電話06-6323-6717
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