平成20年5月 第2316号 (5月21日)
■大学発!! エコ技術・エコ商品 郡山女子大学
未利用農産物で 健康食品等を開発
《アザキ大根を利用した生活習慣病予防食品の研究開発》
「アザキ大根」(金山町で商標登録)は福島県会津地方で生産される辛味の強い伝統野菜(写真)である。郡山女子大学(関口富左学長)の山田幸二教授らは、この大根がグルタミン、γ―アミノ酪酸及びアルギニン量が、市販の青首大根などに比較して六倍以上あることを見出した。
これらはそれぞれ、免疫活性化作用等、肝臓障害の改善等、降圧作用等及び高血圧症の予防作用等の機能性が知られている物質である。また、カリウム量も市販大根よりも著しく多い大根である。そこで、アザキ大根の含有成分による生体機能性を明らかにすることと、新規加工食品を開発することを目的として本研究を行った。
アザキ大根一閧ゥら約一二〇轤フ乾燥粉末大根が得られた。この粉末をSHR(高血圧)ラットに〇・一轣iGABA〇・六謚ワ有)給与した場合、顕著な血圧降下作用は認められなかったものの、心拍数の低下傾向は認められた。また、血液生化学測定からは肝臓機能低下と見られるような結果は認められなかった。
また、この大根の辛味と香味を利用した七味とうがらし、ドレッシング、うどんなどの製造を試みた。いずれもアザキ大根添加群は、香味、総合評価が良好であった。現在、実験を継続し、心機能への効果などの機能性が期待される食品を開発中である。
(家政学部食物栄養学科角野 猛教授)
《未利用農産物にナタデココ類生産菌を用いた新規機能性食品の開発》
フィリピンのロスバニョスのマニラ大学農学部をマイコトキシン関連の研究で訪問したのは一九九四年、周辺ではナタデココの生産がブームであった。
ナタデココはココナツミルクを原材料に酢酸菌を接種すると培養液上部にコンニャク状の菌蓋として形成されるバクテリアセルロース(BC)である。ナタデココはフィリピンでは駄菓子のような存在であったが、ハロハロに使用され人気が出た。フィリピンのナタデココからは各種細菌が検出された。現在の輸入及び国産ナタデココは加熱滅菌したあと味が整えられている。
本研究では、Gluconacetobacer xylinus subsp.Xylinus (DOB13772,DOB13693,DOB13773)よりもBC生産性の優良な酢酸菌株を食酢醸造タンク内の酢コンニャクから分離して、ココナツミルクを全く使用しないBC生産方法を確立した。現在、ナタデココを単なる食物繊維としてではなく、プロバイオティクス(腸内等の“善玉”菌の活性化)の有効な手段として位置づけた研究開発をしている。
(家政学部食物栄養学科 諸岡信久教授)