平成20年5月 第2316号 (5月21日)
■教育投資を対GDP比5%へ
教育振興基本計画に"数値目標"明記求める
教育再生懇談会(座長=安西祐一郎慶應義塾長)は二十日、現在文部科学省が策定中の教育振興基本計画に対する緊急提言を発表した。
同基本計画は、我が国の教育再生のために極めて重要な役割を担うものであり、確実な取組みを推進するためには財政基盤の確保が不可欠であるとして、同基本計画への具体的数値目標を明記すべきであることなどを求めた。
緊急提言の概要は次のとおり。
一、教育再生への確実な取組
幼児教育の無償化、「留学生三〇万人計画」及び外国での研鑽の支援等の国家戦略としての実行、学校施設の耐震化、私学振興、高等教育の基盤的経費(国立大学運営費交付金、私学経常費補助金)の充実など。
二、財政基盤の確保
各施策の実施を裏づける財政的基盤の確保が不可欠であり、今後の歳入改革も見通し、教育への公財政支出を現在の対GDP比三・五%から少なくとも他のOECD諸国並みの五%にする等の具体的数値目標を教育振興基本計画に記述し、省庁総がかりで教育再生を実現していくことが重要。
三、税制、地方の教育費、教育再生会議報告の実行
民間からの教育投資を促進するため、寄附に係る優遇税制について格段の充実・強化を諮る。また、地方交付税で措置されている図書費、教材費などの財源が一〇〇%子供たちのために使われるよう地方に対し強く促す。子供たちの体験活動、学校支援地域本部の全国展開、スポーツ、文化の振興、教育委員会の機能強化をはじめ、教育再生会議報告の提言を確実に実行すること。
同基本計画の策定に向けて、文部科学省は文教関係国会議員等の後押し等もあり、渡海紀三朗文部科学大臣も「数値目標を入れなければ計画にならない」などとの強い決意で、現在、財務省との折衝を続けており、近々にも同計画の素案を取りまとめ、閣議決定に向けた政府内の最終調整に入る。