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平成20年5月 第2315号 (5月14日)
■[新刊紹介]
テキスト 生涯学習 学びがつむぐ新しい社会
田口雅文 柴田彩千子 坂口緑 宮地孝宜 著
不思議なもので、定年が近づくと「生涯学習」という言葉が近いものになるようだ。「市民講座へ通おうか」「ボランティア活動始めようか」なんて。
そうなると、私のような“天邪鬼”は単にボランティア活動などをするだけでは満足できない。それを始めるにあたって何かバックボーンのようなものが欲しいと考えてしまう。
そうした者にとっては格好の本である。第一章の「生涯学習とは何か」、第二章の「生涯学習の理念と理論」では生涯学習の「理念」をこう謳いあげる。
〈生涯学習はすべての人が生涯にわたり、あらゆる学習の場や機会を活用し、学習者の自主性を基本において学習を進めることをめざして導入された理念である〉
第四章では〈人生八十年という長寿社会を、時代とともに移りゆくさまざまな世界と対峙していくには、人生の最初の四分の一の段階に経験する学校教育だけでは到底対処できないだろう〉と学校教育と生涯学習の“立ち位置”に踏み込む。
第五章以下では、社会教育の制度、生涯学習支援の動向、さらに、まちづくりやグローバリゼーションと生涯教育―などについて深く言及している。
なかでも、秋田県鷹巣町(現北秋田市)でワーキング・グループが主導した「福祉のまちづくり」を取り上げた一節にはうなった。生涯学習予備軍にとっては目から鱗である。
冒頭(「はじめに」)には〈大学の授業や社会教育関係の講習・研修で活用を前提にしている〉と書いてある。どうしてどうして、生涯学習志願者の背骨になるような一冊である。
定価1,500円(税別)
発行 学文社
電話03-3715-1501
発行 学文社
電話03-3715-1501
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