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平成20年5月 第2315号 (5月14日)

科目超え効果的学習 函館大が専攻塾で特色教育

 函館大学(溝田春夫学長)では、平成十三年度より、商学科に五つの専攻塾を発足させている。
 専攻塾とは、同大学商学科独自の教育システムで、学生と教員の密接なコミュニケーションを軸に優れた人間性の涵養を行うもの。三人一組の専任教員チームが、入学時から卒業時まで一貫して学生を指導することにより、体系立った学習が可能となる。同科の学生は、会計、IT、ビジネス・アスリート、企業家養成、福祉ビジネス、もしくは、ゼミナール・コースのいずれかを選択する。
 専攻塾を発足させた背景には、効果的な学習には学年を追って体系的にステップアップしていく必要があるが、個別の科目の枠を超えて教員が協力して教育することができていなかったこと。また、学生が教員とのコミュニケーションを避ける傾向があり、卒業後の職業人としての生活にも影響する心配があったことなどが挙げられる。
 専攻塾の発足に伴い、専用教室を用意し、各学年とも授業教室を固定化した。この教室は授業時間以外も塾専用とし、他の授業がない時間に学生が居場所を確保することにも繋がっている。更にこの教室の近くに担当教員の研究室を配置しているため、学生と教員が接触する機会が増え、親密度が上がった。また、一年次に基礎的スキルを指導することで、二年次以降で社会・企業の実際のデータを活用した課題に取り組むことが可能になり、共同研究や発表会に結びついている。
 さらに、@コミュニティの形成、A学習内容の高度化、B機動的学外連携(高大連携や地域の突発的なイベント等に対応できるようになった)、C小集団教員グループによる教育改善活動(教員の教育目標にむけた工夫と改善が試みられた)等の成果が見られ、また、日商簿記検定、日商PC検定などの受験者・合格者も増加している。
 一方で、各年度の初めにコース変更が可能であるため、新たに取り直す単位が多くなるなど学生にとってリスクが高い。また、学生の学習動機・意欲に差があり、塾内での進度やレベルの調整に苦労するなどの課題点もある。さらに昨年度は、「会計専攻塾」で定員を大きく超えたため、選抜が行われた。入学前に希望を取ることは、入試制度上の制約と専攻塾の事前理解を得ることが困難なことから難しく、適切な選抜方法とそれに対する学生の理解が課題となっている。

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